愛はかたまり。 (ページ44)

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【控】メイクの時間ですページ44

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「今日はジャニオタ渾身の崩れず可愛いライブメイクと見せかけて、崩れないスポーツメイクを紹介します」

まずは……、と一呼吸置いたあと、Aは頭にヘアバンドを付け、化粧品や乳液を準備する。

「私乾燥肌やからメイクする前にちゃんと保湿せな、時間が経つとバサバサになってしまうんですよ。なので、メイク前は化粧水と乳液で肌を整えてます。使ってるのは……」

さっきはとても嫌がっていたのに、いざ始まると楽しそうに撮影に臨んでいる。実は美容系YouTuberのメイク動画を見て研究していたのではないか。
熟れたようにいつも使っている商品を紹介していく。

「ある程度肌に馴染ませたら、次は化粧下地です！普段のメイクではほとんど使わないんですけど、ジムとライブ、絶対に崩したくない時は皮脂テカリ防止下地なんてものを使ってます」

実演しながらのメイクするなんてとても器用だよね。俺は東海オンエアの中ではお洒落や身だしなみには気を使う方だけど、メイクはイベントで少しするくらいで日常ではほとんどやらない。

正直面倒くさい気持ちもあるから、Aが毎日メイクしているのは単純にすごいと思った。

「次はファンデーションとフェイスパウダーです。ファンデーションはリキッドで○○の△△を、フェイスパウダーはプチプラのこの商品を使ってます！」

虫さんがカメラを構える中、俺ととしみつとゆめまるは体育座りでAを見つめる。女の子としての一面を久しぶりに見ているらしい2人は目を輝かせていた。

「これでベースメイクが終わったので、アイメイクをしますね」

「じゃあAちゃん、カメラ止めるよ」

間を開けて、一旦カメラを止める。上がった口角を一文字に結び、Aはすぐに真顔になった。

「……割と頑張った方やろ」

「頑張ったよ。皆のためにありがとね」

ポンポンと頭を撫でると擽ったそうに目を瞑る。

……なんだなんだ、今日のA可愛すぎんか。いつも可愛いけど今日は素直で子供っぽくて、甘やかしてやりたくなる。父性本能を擽られているのだろうか。Aという女の子は俺をかき乱すのが本当に上手い。

それ以降のメイクの説明は頭に入らなかった。

分からないカタカナ言葉に着いて行けなくなったのが1番だけど、ここからはメイクを純粋に楽しむAを眺めていたかった。