特別編 クリスマス ページ38
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なーにが『性 なる夜』よ。毎年この時期になると私は常にそう思ってる。『聖なる』でしょ。『せい』じゃなくて『ひじり』でしょうが。浮かれすぎ。ただ私もクリスマスに浮かれてない訳じゃない。
「ねえA、コスプレは?」
「馬鹿か。自分でやっとけ」
クリスマスはいつも通りの撮影の後、残ったメンバーでパーティーを開く。今回はてつや、としみつ、りょうと私。
他の方々は彼女と過ごしたり我が子のサンタさんとして頑張っていたりするから4人で楽しむんだ。
そんな私は撮影に仕込んだパーティー料理の総仕上げをしているんだけど、痔が回復して調子に乗っている男に強請られている。
「俺ちゃんとサイズ調べてサンタ衣装買ってきたんだよ? 着てよ!!」
「としみつに着させといて」
「なっ、俺を巻き込むな!!!」
てつやの手にはサンタのコスプレ衣装が握られている。ただのサンタじゃない。ミニスカサンタだ。
「てか何で私の服のサイズ知っとんねん」
「……りょうに教えてもらった」
てつやは伏し目がちに顔を俯かせ、厚い唇を尖らせた。リビングで何事もなかったかのようにスマホをいじっていたのっぽくんは、私達の元へ慌てて駆け寄ってきた。
「なるほどねー。りょうくんはご飯食べませんと。分かりました」
「ちょっと待って、違うんだ!!!」
「言い訳は聞くわ」
どうぞ、とりょうを見つめると怖いよ、と身震いした。
「てつやがAに服のプレゼントをしたいって言ったから教えたんだよ……」
「いや、もうその時点でおかしいって思わん?」
「思ったけど……」
りょうはごめんなさい、と勢いよく土下座をした。まさか土下座までするとは思わんかったから、正直戸惑った。
「Aのご飯が食べたいです!!」
そんなに食べたい? りょうはほぼ毎日食べてんのに。そりゃパーティー料理だから特別感はあるけど。
「これからは勝手にデリケートなことは教えん?」
「もちろんです」
「絶対に?」
「絶対に」
よし、無罪。
「りょう、リゾット見ててくれへん? お腹いっぱい食べていいからさ!」
りょうは許しを得た子犬のように愛嬌たっぷりにニコニコと顔を上げた。不覚にも可愛いって思ったのは秘密。りょうに免じててつやも許す。
「としみつ、火見とって。着替えてくるわ」
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みぃみぃ(プロフ) - 主人公と、てつとしの絡みがもっと見たいです! (2019年7月18日 15時) (レス) id: 4c3df14bca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2018年9月5日 23時