意外性 ページ33
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すかさず食いついて来たりょうくん。何も知らないりょうくんの目は必死で、動画向きの視線ではない。口角は上がってるけど目がバッキバキで笑ってない。か弱い動物を捕食しようとする肉食動物みたいだ。
「嫌だ……」
「嫌じゃない」
「嫌……」
「嫌じゃないでしょ?」
「そういう言い合いは別の場所でやれ!」
「てかAが怖がっとるやん!」
永遠ループしそうなやりとりをとしみつが止め、怖気付いたAちゃんをてつやが心理的に保護した所で、A王の撮影が中盤を迎えた。トークで時間を食うもんだから、予定よりもオーバーしてる。
「3問目を終えた所で、トップはとしみつです!」
「これは来たわ」
「そしてりょうくんが苦戦しています」
りょうに簡単に勝たせてたまるもんか。Aちゃんの男性ファンの心の叫びが聞こえてきそうだ。
「おかしいな……。こんなはずじゃなかった……」
とうの本人は不機嫌そうだけどね。
「わしがあと1問正解してりょうが間違ったら逆転できるやんね……!」
「やばい! 本気出す!」
さあ、これからどんな展開が待ち受けているんだろう。
「ということで第4問。Aの好きな俳優は?」
「うおー、それも難しい!!!」
「実力派かイケメンかの2択か」
「どっちかなあ……」
としみつの言う通り。実力とイケメンの選択を間違えると致命傷になりかねない。
「この人のことは結構前から好きですね」
「それはヒントでもなんでもない!」
この会話を最後に、3人は無心になって考える。何でこの問題を真剣に考えるんだろう。不思議で仕方がない。
「それではてつやから」
「高橋一生!」
「吉沢亮!」
「菅田将暉さん!」
「ほおほお」
「皆イケメンで揃えたね?」
「Aって顔で選ぶくせがあるやん」
としみつが偏見に満ちた発言をすると、Aちゃんはそんな事ない、と少しムッとしてとしみつを睨んだ。
『好きな俳優は?』
『ムロさん。ムロツヨシ』
「はい、全員不正解!」
ここに来てフェイントをかけたAちゃん。3人は衝撃を隠しきれない。
「それは大戦犯」
「イケメン選べよ!!」
「ないわー」
「ないとか言うな!」
Aちゃんにブーイングが飛ぶ。確かに意外だけど……、とりあえず一言。ムロさんごめんなさい。
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みぃみぃ(プロフ) - 主人公と、てつとしの絡みがもっと見たいです! (2019年7月18日 15時) (レス) id: 4c3df14bca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2018年9月5日 23時