愛はかたまり。 (ページ22)

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やっちゃう？ページ22

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回らない頭を無理やり回し、俺なりにAのメリットを導き出す。クサいなんて言われても構わない。俺はこれしか思い浮かばんかった。

「まずね、Aが1人で東京とか大阪から帰ってきたら家に俺がいる。いない時もあるかもしれんけど、基本的にはいる。Aは朝弱いけど、俺は強いから朝ご飯は嫌々作らなくてもいい」

「うん」

「Aがどんなに疲れてて、自炊するのが面倒臭くても俺がやればいい。寝落ちしてもベッドに連れて行ける」

「うん……」

Aが少しだけ微笑む。

「Aが落ち込んだら沢山話を聞く。何があっても守れるし、1人暮らしよりも安心感があるよ。防犯的なことも含めてね。……あと、俺が癒しになることもできるよ」

恥ずかしい。自分が癒しになるなんて言い方、どこのホストが言うんだよ……。耳が熱くなっていく。羞恥でAの顔を見れない。

俺はその後一切Aの顔を見れず、ただ運転に集中していた。

「ごめん、さっきの質問は意地悪しちゃった」

駐車場に車を停めて、エンジンを止めるとAが眉を下げて笑った。

「もう……、ばか恥ずかしかったのに……」

「ふふ、ごめんね」

でもね、とAが話す。

「今亮くんが言うてくれたこと、全部想像してみてん。そしたらさあ、幸せな未来しか思い浮かばんかった」

思わず目を見開いた。幸せな未来。なんて素敵な響きなんだろう。

「もちろん逆もありやんね？」

「逆？」

「うん。亮くんがつらい時は私が支えるし、私が亮くんの癒しになるし」

「……ねえ、そこは拾わんで！」

Aはすぐに悪戯な笑みを浮かべ、俺の頬を人差し指でつんつんしてくる。

「ビューネくんみたーい。亮くんが私の癒しかー」

大きな独り言だよ、まったく。でも掴みは良かったようで、Aは嫌だとは言わない。

「で、同棲、どうする？」

「しちゃう？」

「……やるか」

良かった。肩の重荷が取れてほっと一息つく。

「でも亮くんが結婚考えてくれてるなんて思わんかったよ。単なる彼女の1人やと思ってた」

「俺がAで遊ぶと思う？絶対無理なんだけど」

Aと付き合うことになった時、密かに決意しているんだ。Aの最後の男になる。Aは俺の最後の女性。

Aに対してずっと曖昧だった自分を卒業してみせるんだって。