愛はかたまり。 (ページ20)

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【控】昼ご飯じゃんけんの時間ですページ20

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「最初はグー、じゃんけんぽん！」

Aの掛け声から始まったじゃんけん。俺と虫さんがグー、Aがチョキ、てつやととしみつがパーを出した。

「おおー」

「あいこでしょ！」

次に出したのは俺とAがチョキ、残りの3人がパーだった。

「おい、りょう絶対勝てよ！！」

「さすがに昼が素うどんは嫌だ！！」

「具材はかまぼこかネギか天かすだけやで」

「腹にたまらんやん……」

「大盛りもあるで！」

よし頑張る、とAが指を動かす。確かにうどん、しかも具材がないに等しいのはつらいな……。素うどんだからつゆだけだし。どんなに大盛りでも、多分食べ進めるうちに飽きてくると思う。せめて油揚げか肉か天ぷらがほしい。

「味噌煮込みうどんだったらAに加勢したのになあ」

「いいや、今日はあっさり味のうどんが食べたい」

「それは今度晩ご飯で食べてください」

うざ、と吐き捨てたAは俺を少し睨んだ。威嚇をしても意味はない。俺より身長が低いからただ可愛いだけだ。

「とりあえず容赦しないからね」

「こっちかて容赦せんわ」

絶対にAにハンバーグを作らせる。そう決心して、拳をAの手のそばに出した。

「ねえりょうくんはいつまで抱き着いてるの？それで決勝じゃんけんするつもり？」

虫さんは苦笑いしながら今更だけど離れなよ、と呼びかける。それは違う。嫌だ。離れない。

「ほっといてあげて。今日はそういう日やねんて」

「……仕方ないな」

なんだかんだで嬉しそうなAに思う存分甘えられて、自然と頬も緩む。虫さんもこれ以上は言及せず、カメラを回し続けた。

「じゃあやろっか」

「やりましょ。せーのっ」

じゃんけんぽん。Aはグー、俺はパー。その瞬間てつやととしみつがよっしゃ、と雄叫びを、Aがあっ、と悲嘆の声を上げた。

「私の手間がかかるやん……！」

「俺も手伝うからさ、作ってよ」

「分かったよ……」

「買い出し一緒に行こうね」

うん、と大人しく頷いたAは、財布を持って立ち上がろうとする。

「お金はてつや持ちだからいいよ」

「ほんまに！？」

「はあっ！？りょうが食べたいんだろ！？」

狼狽えるてつやにとしみつや虫さん、Aがあざーっす、と笑う。Aを独占した罰だ。ゴチになります。