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ep.6 ページ6

料理は、いつも私に正しく返してくれる。
手間をかければ手間をかけただけ、
正しくしたものには正しい結果で出来上がってくれる。

だから料理が大好き。
だから料理人になった。


『潔、七星、氷織』

「Aさん?」

「シェフのひとや」

「どしたっぺ?」


U-20の選抜トライアウトも盛り上がりを見せていて
メンバーはこうして本日の試合を見るためにシアタールームに足を運んでいる。


『さっき試合してもう人の試合見てるの?』

「ああ...レオの試合だな」

『レオ...あぁ御影の』


御影コーポレーションは、父様の店のご贔屓様だ。
小さい頃は良く遊んでいた気もする。
何をしてもつまらなさそうな顔をしていたイメージだったけど。


「そういや、レオと幼馴染なんだろ?レオが知ってるって言ってたから」

『そこまで知り合いでもないですよ。小さい時実家の店に良く食べにきてただけで。』


そう返すと、潔はそうか、と黙り込んでしまった。


「君んちの実家ってあれやろ?
京都の祇園にある老舗割烹料理店」

『ええ、そうです。氷織は京都出身でしたね』

「そ、僕ら同郷」


まるで女性のような見た目だが彼は立派な男性らしい。
千切もなかなか女性のような見た目だったけれど...。


彼らの横に正座すると七星にぎょっとされた。


「Aさん、サッカーとかみるっぺや?」

『見ても分かりません。』

「そ、そうだべな。じゃあなんでここにいるんだべ?」


可愛らしく首を傾げた七星の質問に、私も首を傾げた。
サッカーの、何がそんなにいいのかはわからない。


『私の料理は高級すぎるんだそうです』

「レオ辺りは口に合うって言ってたぞ」

『栄養もバッチリです。食材もそれなりのものを
手間と暇をかけて料理してるつもりです。それなのに...』


膝あたりをぎゅ、と握って私は俯いてしまった。
顧客満足度は料理人にとって1番大事なものだ。
だから悔しい。私の料理は間違ってないはずなのに。


「俺らは料理のことはよく分かんねーけど
サッカーも似たようなことはあるぞ」


モニターを眺めながら潔はそう言った。
言い切ったかと思えばあ、いや偉そうなことは言えないんだけど、なんて次には自信のなさそうな顔。

この人は試合してるときと普段のギャップが顕著だ。
エゴイストのくせに普通の人の振る舞いをする。

「どんだけいい素材同士を掛け合わして優秀な戦術をしても世界一のサッカーはできないんだよ」

共通点とは

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きゅんた(プロフ) - たるとさん» 初コメありがとうございます〜!誤字ってますね〜!指摘ありがとうございます♡主人公総受けなんでまだまだ関係拗れていったらいいなあ〜!!! (2023年1月30日 2時) (レス) @page17 id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
たると(プロフ) - 初コメ失礼します!!いつも楽しく読ませてもらってます!!玲王との展開も楽しみですしカイザーとの関係最高すぎます〜!!あと少し気になってしまったのですがティラピスじゃなくてピラティスな気がします!!細かくてすみません汗 (2023年1月30日 1時) (レス) @page17 id: 33239378f6 (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - まるさん» 報告ありがとうございます〜!外しました! (2023年1月28日 13時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - オリ‘フラ立ってますよ! (2023年1月28日 7時) (レス) @page1 id: d16c4af477 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きゅんた | 作成日時:2023年1月21日 22時

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