検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:73,990 hit

ページ44

「山田!」




引き止めてしまった。



「ひかるせんせ…?」



出て行こうとした山田が再びこちらを向いたその顔に、ぐらりと心を揺さぶられた。


山田のそんな顔、初めて見たのだ。

瞳がゆらゆらと切なく揺れて、
真っ赤な唇を噛み締めて。

まるで少女漫画の学園の王子様みたいな整い過ぎたその顔は、今にも泣き出しそうに見えた。



「…んだよ、その顔、」



教師らしくない口調になってしまったのは、
山田のせいだ。



…そう、全部山田のせい。



山田が、山田だけが俺をこんなにもかき乱す。



「いや、あの、」



いつも自信たっぷりに見える山田が見せた、
弱いところ。


なんだよ、なんでだよ。



「そういうの、困るんだよ。」



せめていつもの、あのあざとい笑顔のまま、
ずっといてくれよ。

そうすれば、コイツはこういう奴なんだって
割り切ることが出来るから。

変に意識したりなんて、
しなくていいはずだから。


だから。



「ひかる、せん、せ、」



頼むから、そんな傷付いた顔、
しないでくれよ。

そんな顔見たら、
せっかく今まで耐えてきたのに。




「抑え効かなくなるだろ、…!」



「っ、わ、ひかるせんせ、!」




山田の手首をぐっと掴み、引き寄せる。


頭の片隅ではまだ、だめだと警報が鳴り響いているのに、もうそんなの無視して山田を抱きしめた。



「なぁ、山田。


俺が好き?」



そんな自信満々な言葉、
生まれて初めて言った。


山田は俺の腕に包まれながら、
顔を俺の胸に押し付けてこくこくと頷く。



「俺、先生だよ?」




「わかってます、けど。


…好きになっちゃったんですもん。」




あぁもうほんとに、ほんとにばか。




「俺も、好きだよ。」




こんなん、惚れるに決まってんだろ。


-------------------------

安直なタイトルですみません…(笑)

山田くんが弱いところを見せたのは、
素なのかはたまた演技なのか。

小悪魔山田くんも大好きですが、
書くとなるとなかなか難しい…。

Meow? -cnym-→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (83 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
243人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りょんな - なななさん» ありがとうございます!できるだけ更新していくつもりですので、また読みにいらしてください! (2018年7月21日 22時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
ななな - おかえりなさい!作品毎日欠かさず見てます!更新がんばってください(*´Д`*) (2018年7月21日 17時) (レス) id: 9722a33cb3 (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - いのあやりんさん» ありがとうございます!1年も経っているのに覚えていてくださる方がいらっしゃってほんとに幸せ者です…。更新頑張ります!また見にいらしてくださいね♪ (2018年7月20日 23時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
いのあやりん(プロフ) - おかえりなさい!りょんなさんの作品大好きで、また読めるんだと思ったら嬉しくてついコメントしてしまいました(笑)更新頑張ってくださいヾ(≧▽≦)ノ (2018年7月20日 16時) (レス) id: 927e799c3e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りょんな | 作成日時:2018年7月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。