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ひかるせんせい。-hkym- ページ42

※先生×生徒

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Hikaru side


高校の教師になって5年。
まだまだ新人の部類だけど、
それなりに仕事の勝手もわかってきた。


子供の頃から特別勉強が得意だったわけではなく、まあ平均くらいの成績。


けれど、人並みに努力して、
今は生徒に教えられる立場になれたんだから、
努力を侮っちゃいけないな、なんて。



それでも、人生は一筋縄ではいかない。



ようやく余裕が出てきた俺の前に現れた、
教師生活最難関の壁。





「あ、ひかるせんせー!」





それが、彼だ。





「山田、」



思わず本人の前でため息をつきそうになるが、必死に飲み込んだ。
教師たるもの、生徒には平等に接さなければならない。


…生徒は教師によって態度を変えても何も言われないのに。



「せんせ、手伝いましょうか?」



茶目っ気たっぷりに笑って首を傾げるその仕草は、どう見たって男子高校生が男の教師に向かってするものではない。



「あ、ありがと…、」



その勢いに押されつつ、
手に持っていたプリントの束を手渡す。



「どこまで運ぶんですか?」



「準備室まで。」



わかりました!と、
またもキラキラの笑顔を俺に向ける山田。

その笑顔がどうにも眩しくて目を逸らした。



「山田、次の授業は?」



「日本史です。

あ、やべ、小テスト…。」



「おい、こんなのいいから戻れよ。」



「大丈夫ですって。
運んだらすぐ戻りますから。」



きっと彼の言う“大丈夫”は、
直前に勉強しなくても点数が取れるから“大丈夫”という意味ではなく、
小テストなんかで点数が取れなくても“大丈夫”という意味だろう。


教師として放っておくわけにもいかないが、
注意したところで言いくるめられて終わりなことは目に見えている。


やっぱりまだ俺は半人前だな、と思った。


少し顔をしかめる俺を見て、



「ひかるせんせ?」



不思議そうな顔をしている山田のその女の子みたいな顔に、どうにも心が乱れる。





…彼は、俺がお気に入りなようだ。

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りょんな - なななさん» ありがとうございます!できるだけ更新していくつもりですので、また読みにいらしてください! (2018年7月21日 22時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
ななな - おかえりなさい!作品毎日欠かさず見てます!更新がんばってください(*´Д`*) (2018年7月21日 17時) (レス) id: 9722a33cb3 (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - いのあやりんさん» ありがとうございます!1年も経っているのに覚えていてくださる方がいらっしゃってほんとに幸せ者です…。更新頑張ります!また見にいらしてくださいね♪ (2018年7月20日 23時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
いのあやりん(プロフ) - おかえりなさい!りょんなさんの作品大好きで、また読めるんだと思ったら嬉しくてついコメントしてしまいました(笑)更新頑張ってくださいヾ(≧▽≦)ノ (2018年7月20日 16時) (レス) id: 927e799c3e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りょんな | 作成日時:2018年7月19日 21時

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