JUMPの愛され赤色さん。- renewal -

Follow your dream!! -ktym- ページ40

※岡本くんの留学のお話です。


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Keito side



「もしもし、やまちゃん？」



「もしもーし。ふふ、けーとの声だ。」



電話の向こうから聞こえるその声を聞くのは、いつぶりだろう。


それほど時間は経っていないはずなのに、
なんだかひどく懐かしく感じるのは、
きっと以前までは毎日のようにその声を聞いていたから。



「元気にしてる？」



俺がアメリカへ飛んでから1ヶ月ほど経った。
こっちでの生活にそこまで不便は感じなくなってきたけれど、まだ慣れたとも言えない。



「俺は元気だよ、やまちゃんは？」



「いつも通り。

メンバーと楽しくやってるよ。」



優しい表情をしているやまちゃんが思い浮かぶ。
グループのこと、メンバーのことになると、
いつもやまちゃんは表情を緩めて、
柔らかく笑う。


うちのグループのセンターは、メンバーを置いてひとりで突っ走っていったりしない。
1人残らず先へ先へと連れていってくれる。


俺は、そんな彼が誇りであり、憧れであり、
大好きだった。



「けーと？聞いてる？」



「え？あ、ごめん、なんだった？」



「そっちはどう？もう慣れた？」



やまちゃんの声は相変わらず優しい。


会っているときはあんなに口が悪いのに、
電話越しだと柔らかくなるのは、昔から。


ステージではあんなにかっこよく決め台詞を言うのに、実は照れ屋だってことも俺は知ってる。



「うん、だいぶ慣れたかな。

いろいろ心配してたけど、案外なんとかなるね。」



嘘をついたのは、ただの強がり。


心配なんてかけたくないし、かけられない。



「…そっか。すごいね、けーとは。」



ぽつり。


電話の向こうでやまちゃんが呟いた声は、
か細くて、小さくて、外で吹く風がもう少し強かったらきっと聞こえていなかった。


自信なさげに弱々しく発せられたその言葉は、
あまりにもやまちゃんらしくなくて、
戸惑った。

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