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波から離れたさらさらの砂浜の上、容赦なく照りつける太陽を気にする様子もなく、俺に負けず劣らず真っ白な肌を存分に晒したその人を、俺は視界に捉えた。
「…きれい、」
思わず頭の中の言葉を口にしてしまうほどに、その人は綺麗だった。
斜め後ろから見るその人は、弱い海風にふわふわの髪を揺らし、何をするわけでもなくただそこに座っていた。
生まれて初めて、“男”に見惚れてしまった。
「…ぁ、」
目があったのは、きっと偶然なんかじゃない。
焦らすようにゆっくりとこちらを向いて俺と視線を絡ませた彼は、綺麗に口角を上げる。
白い肌に映える赤い唇が動いた。
“コッチオイデ”
熱に浮かされたようにふわふわと立ち上がった俺は、吸い寄せられるように彼の方へ歩いて行く。
視線はずっと交わったまま。
その人は、とんとん、と自分の隣の砂浜を叩くから、それに従って隣に座った。
「君、名前は？」
その人の声は、例えるなら暑さでとろとろに溶けたバニラアイス。
「山田、涼介です。」
「山田くん、かぁ。」
俺の名前を発した声は、今度はふわふわなピンク色の綿あめ。
とにかく甘くて、甘すぎて、全身がびりびりした。
頭はとっくに働いてなくて、思考回路はどろどろに溶かされた。
「山田くん。
…俺のこと、好き？」
出会って数分、そんなオカシイ質問に対して、こくんと小さく頷いてしまったのは、暑さのせいなんかじゃない。
柔らかなようで鋭いその視線に心の内まで全て見透かされているような気がした。
はやくなる鼓動。
溺れたように呼吸が浅くなって、酸素が欲しくて口を少し開いたその瞬間、綺麗な指先が俺の頬をするりと撫でて。
ほんの一瞬、唇に触れたナニカ。
「へ、」
「俺も好きだよ、山田くん。」
この夏、俺が溺れたのは、
しょっぱい海なんかじゃなくて、
甘い甘い恋でした。
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平成最後の夏のお話。
夏の暑い日を思い出してお読みいただけたら…思います。
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りょんな - なななさん» ありがとうございます！できるだけ更新していくつもりですので、また読みにいらしてください！ (2018年7月21日 22時) (
レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
ななな - おかえりなさい！作品毎日欠かさず見てます！更新がんばってください(*´Д`*) (2018年7月21日 17時) (レス) id: 9722a33cb3 (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - いのあやりんさん» ありがとうございます！1年も経っているのに覚えていてくださる方がいらっしゃってほんとに幸せ者です…。更新頑張ります！また見にいらしてくださいね♪ (2018年7月20日 23時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
いのあやりん(プロフ) - おかえりなさい！りょんなさんの作品大好きで、また読めるんだと思ったら嬉しくてついコメントしてしまいました(笑)更新頑張ってくださいヾ(≧▽≦)ﾉ (2018年7月20日 16時) (レス) id: 927e799c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りょんな | 作成日時：2018年7月19日 21時
