彼の匂い。-??ym- ページ28
Ryosuke side
過去の恋愛を長く引きずったことはない。
恋愛に、好きな人に、のめり込むタイプであることは自覚しているけれど、終わった恋に基本興味はない。
ひとつ恋が終われば、次の恋を探し始めるだけだ。
昔からそういう考え方だった。
“重いよね。”
俺を知る人は大抵俺にこう言う。
重い。
…まあ、否定はできないけれど。
でも、俺をもっとよく知る人はこう言う。
“ドライだね。”
もっとよく知る人、それは即ち、俺の数少ない友人だったり、 良くしてもらっている先輩だったり。
でも唯一、恋人という関係性の人で、俺にこう言った人がいる。
それが、彼だった。
＿＿＿＿
とある休日。
人がたくさん行き交う街中を、俺はひとりで歩いていた。
久しぶりに買い物でもしようと思って外に出たけど、やっぱり人混みは苦手だ。
空気が悪いし、嫌な汗をかく。
それに。
「ぁ、」
必ずと言っていいほど、懐かしい匂いに出会ってしまう。
その匂いは、あの彼の匂い。
わりとポピュラーな香水の匂いだったことに気づいたのは最近のことだ。
付き合っていた頃は、“彼だけ”の匂いだったのに。
甘すぎないのに甘ったるくて、何故だかすごく中毒性があるその匂いは、鼻を掠めるだけで心臓がどくんと音を立て、思わず振り返ってしまう。
…彼の姿を探してしまうのだ。
今だってほら、反射的に後ろを向いてしまった。
「はぁ。」
思わずため息をついて、くるりと踵を返し、元に戻る。
…どうしてだろうか。
彼以外の匂いに反応したことは一度だってない。
交際中も、別れた後も。
それなのに、もう3年ほど前に別れた彼の匂いだけ、どうしたって身体が反応してしまう。
未練なんかこれっぽっちもない。
恋愛感情なんてとっくに消えて、綺麗な思い出として心の奥に丁寧に仕舞われている。
そう、きちんとしまったのに。
街中で彼の匂いを感じるたびに、その思い出が溢れ出して止まらなくなる。
キラキラした恋心と、どろどろした嫉妬心と、甘くて苦くて切ない思いが一気に押し寄せてくる。
そしてその度に、なぜだか泣きそうになる。
理由はわからない、けど。
…戻りたいと、思ってしまっているのだろうか。
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りょんな - なななさん» ありがとうございます！できるだけ更新していくつもりですので、また読みにいらしてください！ (2018年7月21日 22時) (
レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
ななな - おかえりなさい！作品毎日欠かさず見てます！更新がんばってください(*´Д`*) (2018年7月21日 17時) (レス) id: 9722a33cb3 (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - いのあやりんさん» ありがとうございます！1年も経っているのに覚えていてくださる方がいらっしゃってほんとに幸せ者です…。更新頑張ります！また見にいらしてくださいね♪ (2018年7月20日 23時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
いのあやりん(プロフ) - おかえりなさい！りょんなさんの作品大好きで、また読めるんだと思ったら嬉しくてついコメントしてしまいました(笑)更新頑張ってくださいヾ(≧▽≦)ﾉ (2018年7月20日 16時) (レス) id: 927e799c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りょんな | 作成日時：2018年7月19日 21時
