ネックレス ページ9
「愛星、こっち来て。」
ある日の昼下がり。
ソファーに寝転がりウトウトしていると、シルクの声で意識が覚醒する。
「なーに?」
おぼつかない足取りで声の主の元にたどり着くと、なにかを企んでいるような笑み。
「ちょっとここ座れ。」
"ここ"と指されたのはシルクの足元で。
床の上であぐらをかいているのでたぶんきっとそのあぐらの上に座れということだろう。
「おじゃましまーす。」
シルクのあぐらの中に収まればかれはなんだか上機嫌のようだった。
「この前、撮影で海外行ってきたろ?そん時に愛星にお土産買ってきたんだよ。」
カサカサと背後で袋の音がする。
「ほんと?なんだろ…楽しみ!」
「目つぶっとけよ。」
言いつけ通り目をつぶれば、シャラシャラと金属が揺れるような音が響いた。
「店先でこれ見つけてさ、お前に似合うかなって思って。」
目をつぶってるからわからないけどきっと背後でシルクは前髪を触りながら照れたように笑ってる。
その姿を想像して自然と私の顔もにやけていた。
「…冷たっ‼️」
しばらくして首もとに触れる細くひんやりとした感覚。
かすめるように触れるシルクの手は驚く程に熱を帯びていた。
「目あけていいぞ。」
その冷たさが体温になじむ頃、そっと目を開けば目の前には鏡が用意してあって私の胸元にはシルクがくれたなにかが光り輝いていた。
「きれい…」
シルクが私のために選んでくれたお土産の正体はネックレスだった。
ひかえめな装飾。だけどキラキラ光るそれは私の胸元で確かに存在感を放っていた。
「俺の思ったとおり。似合うじゃん。」
私の肩口に顎を乗せて微笑むシルクと鏡越しに目が合う。
いつの間にか私のお腹に回されていたシルクの腕に手を重ね笑みを返す。
「ありがと。大事にするね。」
ネックレスの飾りを指先で触れるように確認すればでこぼことした感触。
「ねぇ、これなんか文字が彫ってあるの?」
よく目を向ければメッセージのようななにかが彫刻されていた。
「ん?どういう意味だと思う?」
「うーん…現地の言葉で書いてあるからわかんないんだけど。」
「ま、いつか気が向いたら正解教えてやるよ。」
イタズラに笑ったシルクを見て私は首をかしげるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
白く細いうなじに触れるそのネックレスにさえ嫉妬しちまいそうになる自分が嫌になる。
"あなたをあいしています"
いつか言える日が来ますように。
.
314人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛星(プロフ) - 星空夢月(ダホマサモトシル)さん» リクエストありがとうございます!少しお時間いただきますが、ぜひ書かせて頂きたいと思いますのでしばらくお待ち頂ければ幸いです。 (2019年5月6日 17時) (レス) id: b124745788 (このIDを非表示/違反報告)
星空夢月(ダホマサモトシル)(プロフ) - リクエストです。シルクと彼女が入れ替わるって話お願いできますか? (2019年5月5日 20時) (レス) id: 335f3bf1dc (このIDを非表示/違反報告)
愛星(プロフ) - koyumaさん» コメントありがとうございます!悶える…最高の褒め言葉です!ゆっくり更新ではありますが、これからも2人を幸せにしていきたいと思っているので応援よろしくお願いします。 (2019年4月16日 22時) (レス) id: 31293b8be6 (このIDを非表示/違反報告)
koyuma(プロフ) - 一気に読ませていただきました!悶えました!!!好きの気持ちの揺れ動く様子がすごく伝わってきました。これからのお話も楽しみにしています。 (2019年4月16日 19時) (レス) id: 96592c7e36 (このIDを非表示/違反報告)
愛星(プロフ) - きぬたみさん» コメントありがとうございます!私自身もシルクさんのこと大好きなので、いろんな方々と「好き」を共有できることが嬉しいです。ゆっくり更新ではありますが、これからも頑張っていくので引き続き応援よろしくお願いします! (2019年3月30日 18時) (レス) id: 31293b8be6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛星 | 作成日時:2018年12月26日 5時