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酔姫 ページ12

〜プルルルル〜

【着信ー愛星ー】

「はいはーい、愛星?どした?」

動画の編集も終わりそろそろ風呂でも入るかと思っていた時だった。
携帯の着信音が愛星からの電話を知らせる。

こんな時間に愛星から電話とはなかなか珍しい。

「もちもちぃ?ちるく〜?」

「あ?」

いつもとは違う予想外の舌っ足らずな愛星の声に思わず眉間に皺を寄せすっとんきょうな声を出してしまう。

「あのねぇ、今日ねぇ友達とお酒飲んだのね?それでぇ酔っぱらって歩けなくなりました‼️」

電話の向こうではケラケラと笑い声を漏らす愛星。

「…店どこ。」

怒りたい気持ちとは裏腹に愛星の可愛い声が耳元に響いてはがゆい気持ちに囚われる。
惚れた弱味ってやつだろうか。

店の場所を聞き出すとうちから歩いて15分ぐらいのとこだった。

「すぐ迎え行くからそこ動くなよ。」

羽織るものも適当に外に飛び出す。
気温は低く肌寒い。
少しでも早く愛星に会いたくてこれでもかってぐらい全速力で走り続ける。
走る足を阻む信号すら疎ましい。

「愛星っ!」

店の前で膝を抱えてうずくまるように座り込んでいる愛星の姿を見つける。

「あ!ちるくだぁ。」

語尾にハートマークでもついてるんじゃないかと錯覚してしまいそうなほど甘ったるい声。

「…ったく。なにやってんだよ。」

呆れたような表情と声音で話しかけるも本人にはあまり響いてない様子。

「たらいま‼️」

相変わらずの舌っ足らずなしゃべり方で両手を広げてコテンと首を傾げる姿が俺を惑わせた。

「かわいけりゃなんでも許されるって思ってんじゃねーよ。」

心の中のモヤモヤをどうにかしたいのに、こいつに怒りをぶつけることもできなくて。
精一杯の抵抗として小さな鼻を指先でギュッとつまんでやる。

座り込んでいる愛星の目線に合わせるように俺も膝を曲げ屈んでやると彼女はニコーッと満面の笑みを浮かべ広げていた両手を俺の首に回した。

「さむかった。」

酔っぱらった愛星の語彙力は散々でしゃべる言葉の全てが平仮名表記だ。
そんなとこまで愛しいと思えてくるんだから末期だなぁと苦笑いしか浮かばない。

「帰るぞ。」

座った状態のまま愛星に背中を向けると上機嫌な様子で飛び付いてくる。

「しぅく、あったかいねー。」

愛星をおんぶして立ち上がれば俺の頬に自分の頬をピタッとくっつけて子供のように笑っていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


※次話に続きます

しるし(↑の続き)→←おんぶ



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愛星(プロフ) - 星空夢月(ダホマサモトシル)さん» リクエストありがとうございます!少しお時間いただきますが、ぜひ書かせて頂きたいと思いますのでしばらくお待ち頂ければ幸いです。 (2019年5月6日 17時) (レス) id: b124745788 (このIDを非表示/違反報告)
星空夢月(ダホマサモトシル)(プロフ) - リクエストです。シルクと彼女が入れ替わるって話お願いできますか? (2019年5月5日 20時) (レス) id: 335f3bf1dc (このIDを非表示/違反報告)
愛星(プロフ) - koyumaさん» コメントありがとうございます!悶える…最高の褒め言葉です!ゆっくり更新ではありますが、これからも2人を幸せにしていきたいと思っているので応援よろしくお願いします。 (2019年4月16日 22時) (レス) id: 31293b8be6 (このIDを非表示/違反報告)
koyuma(プロフ) - 一気に読ませていただきました!悶えました!!!好きの気持ちの揺れ動く様子がすごく伝わってきました。これからのお話も楽しみにしています。 (2019年4月16日 19時) (レス) id: 96592c7e36 (このIDを非表示/違反報告)
愛星(プロフ) - きぬたみさん» コメントありがとうございます!私自身もシルクさんのこと大好きなので、いろんな方々と「好き」を共有できることが嬉しいです。ゆっくり更新ではありますが、これからも頑張っていくので引き続き応援よろしくお願いします! (2019年3月30日 18時) (レス) id: 31293b8be6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛星 | 作成日時:2018年12月26日 5時

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