恋色ストロベリー【妖怪ウォッチ】 (ページ5)

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【03】優しい暗黒神エンマページ5

黒亜=暗黒神
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ASide

『まだかな～…』

さくら中央シティの南側。簡単に言うと、モグモグバーガーがあるところ。

そこの真正面にあるベンチで私は、ある人を待っている。

黒亜。誰とは思うけど、人間に化けた暗黒神。

『うう…寒い』

体温を逃さないよう、両手を使って、腕をこする。

季節がどんどん冬に近づいているため、重ね着をしている人が多くなった。

もうちょっとで、ハロウィーン。

ハロウィーンの予定はまだ考えていないけど、まあ、決める日が来る。

スカートの中に風が入って来て、寒い。

長いスカートなのだけども、風にはどうってことないらしい。

私の隣に誰かが座った。

ちらっと見てみる。

『黒亜、なにしてんの…？』

隣に座っていたのは、なんと黒亜。

黒亜はぽかんとした表情でこっちを見ている。

「気付くかと思っただけだ」

『声かければ良いのに』

ため息をつく。

「試しただけだ」

私に試練を与えたようだ。一体何の試練なんだろうか。

『何を』

「オレの気まぐれ精神」

『回答になってないけど』

呆れる。だけども、黒亜はこういう性格だから、だいたいはついていける気がする。

「ハハ、いつものことだろ。気にするな」

『そういうなら気にしない』

「さて、行くか」

『どこに』

実は、場所を決めていない。

何より、今日の朝にでかけようという話になってしまったのだ。

こんなんだったら、数日前から決めておけばよかった。

少しの後悔を胸に残したまま、ベンチから立ち上がって歩き出す黒亜について行くことにした。

『で、なんで自販機に？』

「ちょっと待ってろ」

黒亜はお金を入れて、ボタンを押している。

私は、ただ後ろで見つめるしかなかった。

そして、黒亜は何かを取ると、私に向かって差し出した。

「ほら、寒かっただろう？」

受け取る。暖かい。

『これって…ホットココア？良いの？』

「ああ。待たせたからな。お詫びみたいなものだ」

飲めよ、と促され、私はキャップを回す。

白い湯気が天に向かって立ち上がっていった。

熱いので、ちょっとずつ飲む。

『暖かい…ありがと』

黒亜の人に対する優しさを知ったのは、ここだった。

Fin