01 ユウ ページ1
近くから、聞こえる物を仕舞う音。
私の声。
9月とは思えない、晴天の空。
まるで引越しを大歓迎しているかのように、窓から差し込むオレンジの光。
「ふぅ……」
今まで使命感に追われていたが、逃げ切れたようで、ほっとした。
「お母さん、片付け終わったよ!」
そう言うと、わかったわ、とお母さんの声が返ってくる。
ちらっと、カバンにかけられた時空神のクリーナーに目をやる。
私の一番の推しで、クリーナーを買ったあの日から、ずっとそばにいる。
どこか、お疲れ様と言っているような気がした。
秋にも近いこの日。
しかし、暑さは残ったまま。でも、すぐに終わるだろう。
使い果たした暑さは、どこかに消えて、一年をめぐり、戻ってくる。
輪廻。ずっとすっと回る。
秋にも近いこの日は、引越しの日だった。
なんでも、仕事の関係上、遠く離れたところまで行くそうだ。
私は、新しい場所に行けるのなら、それでよかった。
…そうなのかもしれない。
スマホの電源をつけて、みてみる。
Wi-Fiは…うん。繋がっていた。
迷いもなしに開いたのは。
私の同士であり、楽しみにしている卯月さん。
まぁ、前は獄桜という名前で活動していた。
私は、獄桜ちゃんと呼んで、卯月ちゃんは、ゆうちゃんと言ってくれる。
卯月は、月の異名で4月のことをあらわす。
名前変えたって、前言ってたな。
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