プチ炎上 1 ページ33
「お疲れ様でーす」
「お疲れ様ー」
Aが働く手芸店。
閉店作業を終えてバックルームに入ったAに、パソコン前の店長が返事をした。
(明日からはいよいよ地方遠征だー)
ロッカーの前、思わずうーんと両手を挙げて伸びをした。
「あら！」
店長の声に振り向くと、パソコンの画面を食い入る様にみつめる店長。
「これは・・」
「？ どうかしました？」
近寄って覗き込んだ画面はＳＮＳ。
「あれ、仕事かと思ってました」
「ちょっと休憩してたのよ」
「あははー、で、これは？」
「ちょっと炎上してるみたい」
「炎上？」
そこに映る画像は、食事後の食器やグラスの並ぶテーブルをバックに
笑顔でピースしている女性の自撮り写真。
「あれ？ これってあの元アイドルグループの・・」
「女優になったとかって子よね？」
「そうですよね？ で、この写真がどうかしたんですか？」
「これも見てちょうだい」
そう言って店長が映し出した写真にはユノとチャン ミンが写っている。
その周りにたくさんの男性、女性、どうやらダンサー達のようだ。
どこかのお座敷で料理を前に笑顔を見せている。
「これは？」
「これはこの間の打ち上げの時の写真なの」
「へぇ〜そうなんですね」
意外と普通の所で打ち上げするんだなぁなどと思ったA。
「この写真を撮った場所が、このトンの打ち上げ場所だって」
「え！？ そうなんですか？」
背景には部屋の全体は写ってなく、メインは元アイドルの顔なので
そんなに情報があるように見えない。
「ほら、食器とかグラスとかそっくりでしょ？
テーブルの模様だったり備品だったり、そんな事から調べていくのよ」
その間にも店長は書き込みのあれこれを読み色々と把握していく。
「・・トンが打ち上げした場所で写真撮ったのは間違いなさそうね。
まあ、ファンの子達がメンバーの行った所を訪ねるのはよくある事だけどー
これは完全に直後に撮った写真よね」
「？」
「この子の出身地だったみたいね。どうもこのお店が親戚のお店らしくて」
「えー、そんな事までわかるんですか！？」
「ファンの情報力収集力ってすごいからねー。だから、このお店にトンが来る様に
手回ししたんじゃないかって、そんな話も出ててザワザワしてるみたい。
しかも、打ち上げ写真が出るより先に、この写真がネットに上がってたらしくて。
すぐに削除されたらしいけど、きっと目ざといファンがみつけたのね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カホル | 作成日時：2021年6月3日 16時
