2日目 〜チャン ミン ページ26
さ〜て、今回もやってまいりました。
他人の恋愛事情を聞くなんて馬鹿らしいかもだけど、なかなか癖になる。
今回はどんな話が飛び出すやら？
『ヒョン』
『ん？』
楽屋で、コーヒーを手にソファーへと腰を下ろしたヒョンに声をかけた。
『今日は宿舎に帰るんですよね？ いいんですか？ 彼女一人にして』
『もちろんずっと一緒にいたいけど、いつも宿舎に帰るのに
ホテルばっかりにいるのもよくないんじゃないかって、Aちゃんが』
『楽屋にも来ないんですか？』
『うん、毎日いて怪しまれたら困るからって。大丈夫だって言ってもイヤだって。
なかなか頑固っていうか、心配性っていうか』
『マネージャーの彼女設定なんだからそんなに心配しなくても・・』
うっかり口にしたらヒョンから漂う殺気。
『(汗)いや、なかなかクールですね、彼女。ライブは来るんですか？』
『うん。関係者席には入らないみたいだけどね。
まあ、チャンミナに会いたくないって言ってたから、それはそれでいいのかな？』
『えっ！ 僕、何かしましたか？』
少し焦った僕。
『あー、それはねー。思い出したみたい』
ヒョンはカップから口を離して言った。
『？ 何をですか？』
『筋肉』
『ぶふっ・・、それは本当は何の話だったか理解したってことですか？』
『そう、それで恥ずかしいみたい。チャン ミンと顔合わせたくないって・・』
『あー、それで・・』
なんでかわからないけど少しホッとした。
『だから、思い出したって聞かなかった事にしておいて』
『了解』
『ところでヒョン、ちゃんとしたんでしょうね？』
『何を？』
『禁欲』
『ぶはっ』
今度はヒョンがコーヒーを噴き出した。
『な、当然だろ』
僕が差し出したティッシュでテーブルを拭きながらヒョンは、動揺してない風を装っている。
『俺は、守ると言ったら守るんだ』
『そうですね、ヒョンは。・・流石です』
そういう男ですからね、信じましょう。
僕はソファーから立ち上がった。
『ところでチャンミナ』
『はい』
『チューはしていいんだよね？』
『はいっ！？ それ聞きますか？』
真面目な顔のヒョン。
『・・ま、まぁ、それくらいは・・』
僕の返事に満足そうな顔をしたヒョンに、僕の方が赤くなったよ。
まったく突拍子もない。
しかし、なかなかおもしろいなぁ、彼女。
だから探りたくなるのかな。
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作者名：カホル | 作成日時：2021年6月3日 16時
