本当のこと ページ32
閉店後に店内で簡単な打ち上げをした。
「お疲れ様でした〜」
皆、イベントが成功裏に終わった事で満足そうな顔をしている。
「良かったですね、店長」
「みんなのおかげだよ、ありがとう」
イルも嬉しそうだ。
「次は、店長の結婚のイベントですかね？」
・・・「！」
その会話に逃げ出したくなるA。
「ん〜、まぁ、その時はよろしく」
イルは満更でもない笑顔を見せた。
恨めし気に見るAから顔を背けるミナ。
Aはため息をついた。
・
・
・
プライベートゾーンに戻り入浴まで済ませ、やっとリラックスするイル。
しかし、Aの頭の中は落ち着かず、リラックスどころではなかった。
どう言って、誤解を解くか？
誤解から、あんな発言したんだろうから、誤解を解いたらどうなるのか？
(あんな発言しちゃって、取り消す訳にもいかないし・・・どうなるの！？)
落ち着かなくて、冷蔵庫から冷えたオレンジジュースを出し口にした。
ふと振り向くと、イルがソファーで珍しくウトウトしていた。
Aはソファーに近寄るとイルをみつめ、額の髪を指で払う。
「ん・・・」
「風邪ひくよ？イル」
「ん〜」
伸びをするイル。
「僕にもちょうだい」
Aはオレンジジュースの入ったコップを渡す。
「お疲れ様」
「うん、Aもお疲れ様」
コップをテーブルに置くと、イルがソファーをポンポンしてAを促す。
隣に座ったA、イルが微笑む。
「明日は臨時休業だから、どこか出かける？」
「あ、と・・・、イル？」
「ん？」
「その・・、話があるんだけど」
「何？」
「あ、の・・」
イルをみつめたまま口をパクパクさせるA。
「ど、うして・・あんな事、言ったの？・・あ、あの人達から私を守ってくれたんだって事は
わかってるの。だけど・・・いきなり・・・」
Aに向き合うとイルが言う。
「イヤだった？」
「！ そうじゃないの、そういう事じゃなくて・・。あんな大勢の前で言っちゃったら、
戻れないっていうか・・・、ちょっと、大変な事になったっていうか・・・」
「A」
Aがイルを見る。
「突然、言ったから驚いたと思うけど、あれは僕の本心だから・・・」
「！？」
「この先もずっとAといたいし、責任も取りたい」
「ちょ！ちょっと待って、責任、ちょっと待って！」
「？」
イルが不思議な顔をしてAをみつめた。
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作者名：カホル | 作成日時：2020年6月16日 20時
