ハグ ページ25
━「いらっしゃいませ〜」
何気ない日常へと戻った。
「こんにちわ」
「！」
いきなり目の前に現れた美咲に、Aは固まった。
あいかわらずの美人で色っぽい。
「お久しぶりね、お元気？」
「え、あ、はい・・・」
「イルに会いに来たんだけど、いる？」
「あ、・・・はい、お待ちください」
Aは震える手で店長室のドアをノックした。
「はい」
「店長・・、あの、お客様がお見えです」
「？」
イルが客席へと出て行くと、Aは控室に駆け込みしゃがみこんだ。
そこにいたミナが驚く。
「A！？」
青白い顔をして辛そうなA。
「また貧血？」
ミナはそう言うとおしぼりを持って来てAの額へ当て、黙ってみつめた。
・
・
・
━店内では・・・
「美咲！？」
「久しぶりね、イル」
イルはAの事が気になった。
「どうしたの？今日は」
「ん〜、お世話になったし挨拶に来たの。あら？Aさんは？
Aさんにもお礼を言わないとと思って来たんだけど」
「お礼？」
「大事な彼氏を借りちゃったじゃない？ふふ・・・、呼んで貰える？」
「あ、うん・・」
イルが振り返ると、控室からミナと共にAが出て来るのが見えた。
ためらいながら手招きをするイル。
ミナが心配そうな顔で見るも、Aはイルの元へと向かった。
「あら、顔色悪いけど大丈夫？」
「いえ、大丈夫です」
Aはの手はユニフォームを握り締めている。
「Aさん、この間はイルを借りちゃってごめんなさいね。心配したでしょ？
何も言わずにいきなり２人で出て行っちゃって。これでも気にしてたのよ」
「え！？いえ、そんな・・」
「おかげでお祖母ちゃんをしっかり見送る事が出来たわ。ありがとう」
「私は何も・・」
「心配する事は何も無いから安心して。懐かしい気持ちはあったけど、今更イルに
特別な感情は無いから」
「なんか、ひどい言い方だなぁ」
「ふふ、ごめんなさい。でもこれ位言わないと信じて貰えないでしょ？
イルもありがとう。それから、昔の事は、本当にごめんなさい」
「もういいよ」
イルが微笑むと、美咲がイルにハグをした。
「！！」
驚くイル、固まるA。
続けて美咲はAも抱きしめた。
「外国に行ってたから癖になっちゃてて、ごめんね。でも感謝の気持ちだから受け取って」
「・・・」
Aも恐る恐る美咲を抱きしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カホル | 作成日時：2020年6月16日 20時
