With you （続 birdcage） (ページ13)

今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:7,585 hit

膨らむ不安ページ13

Aは、ジッとしていたら不安に押しつぶされそうで無心に働いた。

窓拭きや控室の掃除など、とにかく余計な事を考えない様にと体を動かした。

「ん～、これでキレイになったかな？」

満足そうなAにミナが呆れて言う。

「・・何があったの？大丈夫？」

「え？大丈夫大丈夫、何もないよ」

「あんたは、まったく・・・わかりやすいんだから」

「え～？何が？ほら、ミナ、お疲れ様っ」

やたらとニコニコしハイなAを怪しむミナだった。

━バスに揺られ、静かな１人の部屋へと帰ったA。

灯りをつけても、小さな部屋が寒々とし淋しさを感じる。

鞄を置くと、化粧も落とさずベッドに腰掛けた。

「ふ～っ・・」

人知れずに出るため息。

(仕事を依頼してるって言ってたから、きっと仕事の事よ、そうよ、そうに違いない)

自分に言い聞かせるとAは、ベッドの上のぬいぐるみ、ルーをみつめた。

「そうでしょ？ルー」

ぬいぐるみが話す訳もなく・・・

「ん～・・・・・お風呂っ」

気持ちを切り替えようと立ち上がった。

・
・
・
━翌朝になってもイルからの連絡は無かった。

(メールくらいくれてもいいのに・・、そんなに忙しい仕事って何？)

どこで何をしているのかもわからない状態が不安を増長させていく。

買い物していても、部屋の片づけをしていても、常にスマホを気にしていた。

それでもイルからの連絡はなく、考える事に疲れていくA。

コンビニで缶チューハイを買って来た。

いい気分になってウトウトしていた時、スマホから呼び出しメロディーが鳴った。

「・・・んにゃ、はーい」

完全な酔っ払いに仕上がっている。

「もしもし？Aちゃん？」

「あ、ユノさんだー」

それはイルからではなかった。

「Aちゃん？あれ？どうかした？」

「何にもありませーん、イルからの連絡もありませーん」

「もしかして、Aちゃん、酔ってる？」

「んふ？んふふ・・」

「イルさんと、何かあったの？」

「ひみつ、です。んふ、おやすみなさーい」

「あ、あ、ちょっと待って」

スマホが床に落ちた様な音が「コトッ！」と聞こえたが、通話が切れた様子は無かった。

「Aちゃん？もしもーし」

「・・・」

(眠っちゃったのか？)

そう考えてみたものの気が気でないユノは車のキーを手に取った。