Happy new・・・ （前編） ページ16
Aは目を覚ました・・。
部屋には白く朝の光が差し込んでいる。
静かな部屋。
隣にユノは・・・いない。
Aはベッドに起き上がると、ゆっくりと息を吐いた。
夢を見ていたかのような2日間。
思い返してみる。
せつないけれど、楽しかった。
ユノは本当は何者なのか？
本当にサンタクロースだったのか？
わからないけれど、今まで感じたことのない幸せを味わった気がする・・・
━Aは髪をかき上げると、少し微笑んだ。
「さあ、着替えて片付けしなくちゃ。」
コタツの上には、飲み物などが出たままになっている。
Aは服を着ると、片付け始めた。
ユノと飲んだお酒のボトルがある。
「これ、何のお酒なのかしら？」
手に取ってボトルを見ようとした。
・・・と、その陰に隠れるように置いてある小さな箱をみつけた。
細いリボンのかかった白く小さな箱。
「何かしら？これ。」
Aは手に取ってみた。
箱に書かれたジュエリーショップの名前に気づく。
「あれ？これって・・・」
ユノが新しいピアスをして出て来た店の物だった。
Aの鼓動が高まり、箱のリボンをほどくと中から出て来たケース。それを開けた。
「 ！」
シルバーの指輪が入っていた。
「・・・これ。」
真ん中にはめられた小さな淡い色の石。
そのデザインはユノがつけていたピアスと同じ、ペアになっている物らしかった。
Aは泣きそうになった。
「ユノ・・・」
添えられていたカードにメッセージがある。
〜 Merry X'mas 愛をこめて ユノ 〜
堪えきれなくなった涙が溢れだし、泣き崩れるA。
「・・・ユノ・・・ユノ！・・・」
━どれくらい泣いていたのか・・・。
少し落ち着いたAは、指輪をはめてみることにした。
指輪をはめ、手をかざしてみる。
「ユノ・・・ありがとう。ユノが選んでくれたんだね。私の欲しかった物に似てるよ。」
Aは嬉しそうにその指輪にキスをした。
「さあ、続き続き！」
片付けを終え、1人の昼食をとり、雑誌をめくる。
「何かいい仕事ないかな〜？」
そんな間に、何度も指輪を見てはにやけているA。
ユノはいないけれど、Aに残ったものはいつまでもAを優しく包んでいた・・・
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作者名：カホル | 作成日時：2020年4月28日 13時
