聖なる夜に （後編） ページ15
薄暗い中、ふと気が付くとベッドで眠っていた。
また途中で眠ってしまったのかと一瞬思ったが、隣で眠るユノの姿に安心した。
無防備な寝顔が愛おしかった・・・
「かわいい・・・」
小さくつぶやいてユノの頬にキスをした。
微かに動くユノのまつ毛。
今度は耳元で囁いてみる。
「かわいい・・・ユノ。」
するとユノが両手でAの頬を引っぱった。
「こら、何イタズラしようとしてんの。」
「・・・してましぇん。」
Aがユノの手を掴むと、ユノが微笑んだ。
「今度は邪魔が入らなかったね。」
「・・・そうね。」
照れたAが答えた。
Aはうまく言葉がみつからなかった。
伝えたい気持ちが溢れそうにある。・・・でもそれを言ってしまえばユノを困らせそうで・・・。
じ〜っとみつめるAにユノが言う。
「何？そんなにみつめて。・・・もう1回？」
イタズラな瞳で言うユノの頬を、今度はAが引っぱった。
「違います！」
ユノは裸のままベッドから出ると冷蔵庫まで行き、取り出したミネラルウォーターを口にした。
その背中をみつめるA。
・・・今度眠ったら、目を覚ました時にユノの姿は消えているだろう・・・予感があった。
突然舞い降りてきた雪のようにAの心に降り積もっていったユノ。
やがて消えてしまう儚い雪・・・
ベッドから抜け出したAは、ユノの背中に抱きついた。
「！ 何？A。・・・やっぱり・・・」
微かに震えるAの指に、ユノの顔から笑みが消えた。
「A？どうした？」
「・・・サンタさんは神様とは違うから、願いは叶えてはくれないよね？」
ユノは体の向きを変え、正面からAの体に優しく手を回した。
「言いたい事があるなら、伝えたい事があるなら、素直にそれを言ってもいいんだよ、A。
僕はそれで怒ったりもしないし、Aを嫌いになったりはしないから。」
Aはユノの胸にうずめていた顔を上げ、ユノをみつめた。
潤んだ瞳。
優しく微笑むユノ。
Aは少し背伸びしてユノにキスすると、ユノの体に回した手に力を込めた。
「・・・・消えないで・・・ユノ。」
ユノがAを強く抱きしめ、2人はお互いを求めるように熱いキスを繰り返した。
「A・・・」
「・・・ユノ・・・」
短い時間の愛を確かめるようにもつれあう体。
Aは何度もユノの名前を呼んだ・・・
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作者名：カホル | 作成日時：2020年4月28日 13時
