聖なる夜に （中編） ページ14
「・・・明日には消えちゃうわね。」
どこからか聞こえてきたクリスマスソングが消え、Aが呟いた。
「イルミネーション・・・。クリスマスが終われば、サンタクロースのお仕事も終わり・・・」
イルミネーションの光にキラキラするAの瞳が潤んでいるように見えた。
「A？」
Aはカーテンを閉めた。
「窓辺は寒いね。」
笑ってみせ、コタツへ戻ろうとするAの腕を、ユノが掴まえた。
「・・・なに？」
微笑んで問いかけるAを引き寄せ、キスをした。
━やがて離れると、Aが話し出した。
「私が恋してるってユノに言われて、・・・出会ってすぐにそんなこと・・・って思った。
だけど、不思議なんだけど、ユノといるととても楽しくて、嬉しくて、幸せに思ってる私がいる。
ユノと過ごす時間はとても濃密なもので、短い時間なのにどんどん距離が近くなっているみたいに
感じて、ずっと前から一緒にいる気がしてきちゃったの。
だけど、ユノはサンタさんとして私のところに来たんだから、明日になったら消えてしまうかもしれない・・・。
そんな事を考えてたら・・・悲しくなった。
やっぱり、私は・・・ユノに恋してる・・・みたい。」
少し目を伏せ、口びるをキュッと結んだA。
そんなAの頬に優しく触れるユノの長い指。
「・・・A、こっちを見て。」
Aはユノの顔を見上げた。
優しく輝く瞳に、せつない想いが溢れそうになる・・・
「ユノ・・・。あなたが好き・・・」
「A・・・」
抱きしめられたAの耳に、名前を呼ぶユノの声が甘く響いた。
ユノの柔らかな口びるがAの口びるに重なる。
Aもユノの体に手を回し、ユノを受け止めた。
1つになったお互いの想いを感じ、確かめ合いながら、2人は夜に深く溶け合っていった・・・
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作者名：カホル | 作成日時：2020年4月28日 13時
