24日 （後編） ページ2
出口付近のカウンターが賑やかだ。
派手な装飾で「福引抽選会」と書いてある。
「あ、そうだ。さっき貰ったっけ。」
１枚ぽっきりでは当たるはずもないけど、もったいないから・・・と福引券を差し出した。
「１回どうぞ！」
ジャラジャラと中の玉の音をさせながら回転させると、白い玉が出てきた。
(やっぱりハズレか。)
ティッシュを受け取り立ち去ろうとした。
「おめでとうございます！！」
「え！？」
ガランガランと大きな音に振り返る。
差し出された白い玉の裏側に、赤い星のマークが印してあった。
「特別賞！サンタデリバリーサービスの大当たり〜！」
「サンタ？」
「サンタがプレゼントを持ってお客様のお宅までお届けにあがります！」
「あの〜、うちには子供なんていないんですけど・・・」
「ご安心ください。きちんとお客様に見合ったプレゼントをご用意させて頂きます。」
「そうなの？それならいいけど・・・」
「では、こちらにご記入ください。」
Aは指示される通りに申し込み用紙に住所などを記入した。
貰ったティッシュを手に帰る。
ティッシュを裏返して見ると「サンタがうちにやって来た！？」とイベントの宣伝が書いてあった。
「ふ〜ん、これね。どんなプレゼントが貰えるんだか・・・」
━「当たったね」
ふいに、どこからか声がした。
周りを見ても歩いている人ばかり。
ふと、左側に立っているサンタの衣装を着たマネキンと目が合った。
目が合った！？
マネキンと思っていたそこには、1人の男が立っていた。
背が高くキレイな瞳をしていて、かなりの美形。
マネキンと間違えてもおかしくはない。
その美形さとアンバランスなはずのサンタの真っ赤なジャケットと帽子を被っているが、ちっとも変じゃない。
(この人が言ったの？)
そう思ってみつめていると、相手はニコリと微笑んだ。
━「おめでとう」
妙な心地よさを持ったその声。
その瞬間、後ろから歩いて来た人の肩がトンとぶつかった。
「すみません」
もう１度サンタ姿の男を振り返ると、そこにはただのマネキンがサンタの衣装を着せられ立っていた。
「あれ？」
(目の錯覚？気のせい？)
・・・と、目の前がグニャリとする感覚がした。
「風邪でもひいたのかな？」
なんとなく熱っぽいような気もする。
「早く帰って薬の飲もう」
Aは足早に自宅アパートへと向かった。
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作者名：カホル | 作成日時：2020年4月28日 13時
