クリスマスの雪 (ページ1)

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24日　（前編）ページ1

暮れも押し迫った12月。
街はすっかりクリスマスモード。
昼間の明るい日差しの中でも、色とりどりに飾り付けられたディスプレイが
誰もの気分をもウキウキとしたものにさせる。

そんな中Aは、「ジングルベル」の流れるデパートで1人ショッピングをしていた。

「クリスマス」・・・嫌いなはずがない。
誰かのためにプレゼントを考えたり、どんなケーキを食べようかと悩んだり。

一昨年はケーキを売る側にいた。
去年は・・・彼氏と・・・。

だけど今年は違った。
何の予定もない、1人きりのクリスマス。

買い物を終え出口に向かっていると、キレイなジュエリーの並ぶショーケースが目に留まった。

「あ、かわいい。買っちゃおうかな～？」

小さな淡い色の石のついた指輪に興味をひかれた。

「いらっしゃいませ～。プレゼントですか？」

声のする方を見ると、男の人が1人で照れながらも、彼女への贈り物であろう指輪を選んでいる。

(いいな～・・・)

反対側からも声がした。

「私これがいいなぁ～」

彼氏連れの女の子がべったりと腕を絡ませ、猫なで声でおねだりをしてる。

(・・・・・。)

うんざりした気分になったAは、自分で自分に指輪を買うのが馬鹿らしくなり
その場を立ち去った。