25日 （後編） ページ9
「ねぇ・・・。」
Aが外の景色をみつめたまま、ユノに話しかける。
「ん？」
ユノはAの横顔をみつめた。
「あなたと今・・・なぜ、こうしているのか不思議なんだけど・・・。昨日出会ったばかりなのに。」
「そうだね。」
「私・・・、出会ったばかりの人とキスしたりするなんて、初めてなの。信じてもらえないかもしれないけど。」
「信じるよ。」
Aは少し口元で微笑んだ。
「ただ1人でいるのが寂しくて、こうしているのかな？自分でもよくわからない。
でも、あなたといるととても楽しいし、温かい気持ちになれるの。」
ユノは優しい声で言った。
「出会ってすぐに恋に落ちることだって、あるんだよ。何も罪悪感を抱く必要はないよ。」
「恋？」
振り向くA。
「恋なの？私はあなたに恋をしてるの？・・・そうなのかな？」
ユノは正面からAの腰に両手を回した。
「どんな気持ち？」
正面からユノと向き合い、みつめあう。
「・・・ドキドキしてる。恥ずかしいような、嬉しいような、幸せなような・・・。」
微笑むユノ。
「僕も幸せを感じているよ。」
そう言ってAの頬にキスをすると、その体を抱きしめた。
「温かいね・・・。」
Aがつぶやく。
ユノはAにそっとキスをした。
「これから、どうしようか？」
「う〜ん・・・」
問いかけに軽く首を傾げたAの首筋に、ユノが口びるを触れさせた。
少し驚いたAは、ユノの体に回した手に力を込めた。
・・・その途端、お腹がグ〜っと鳴った。
ユノが笑う。
「まずは食事だね。お昼には少し早いけど、どこかでブランチでもしようか。」
Aは少し照れながら、うなずいた。
「・・・ごめん。」
申し訳なさそうなAの頬に軽く手を触れ、頭をポンポンとしてユノは微笑んだ。
「行こう、A。」
「 ！・・・私の名前、知ってたの？」
少しイタズラっぽく口元に笑みを浮かべてユノはAの手を掴んだ。
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作者名：カホル | 作成日時：2020年4月28日 13時
