JUMP短篇集（JUMP×JUMP）5

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…

side・yb


切り分けてもらって、ひとくち、口に含むと
ふわぁっと香るブランデーの風味。

「んまっ！なにこれ！！」

「ほんと？？よかったぁ。薮、甘いの苦手でしょ？だから、洋酒を効かせてみたの」

「大変だったろう。こんな凄いの作ってくれるなんて」

「思ってるより簡単だったんだよ。光がこれならどぉ？って、教えてくれて。これはね、ここがねぇ…」


光と作ってる時のことを話してくれる伊野尾は、それはそれは可愛くて、このまんま押し倒したいくらいだ。

とりあえず、その気持ちをグッと押さえて…



「そぅかぁ。実はさ、俺、今年は伊野尾からは貰えないのかなぁ。って思ってたんだ」

「え？え？なん、で？」

「だって、ずっと城島くんにあげるチョコの事しか話さないしさ」

「ごめ、ん……」

まぁ、いま貰えたからいいけどさ。
と言えば直ぐにニコニコとしてくれる。



「ところでさ。俺になんか言いたいこと、ない？」

「え？べつにないよ？」

「そんな即答しなくても(笑)」

「えー？特にないけど……」


「おまえ自覚ない？
ここ最近《結婚》てやたら話してること」


「え？そー？」

「31歳までにやりたいことのひとつなんだろ？」

「あーうーん、えーと」

「やたらとラジオやテレビでもその単語が出て来てるんだが」

「あ、やー、んー」

歯切れの悪い返事ばかりの伊野尾はほっといて。


「てなわけでさ、これ」

「ふぇ？」

「バレンタインは好きなひとを喜ばせるためのものだろ？ほんとはお前の誕生日まで待とうとしたんだけど」


ゴソゴソと出した青い小さな箱。
パカッて開いて見せたら目をまん丸くして
何度も俺とソレを交互に見てる。



「え？え？」

「伊野尾慧さん！結婚してください」

「ふええー？？？」

「俺とずっと一緒にいて」

「ぅ、うん、うん！する！！」





左手に嵌めたソレを大事そうに撫でながら
嬉しそうに微笑んでくれるコイツは
ほんとに可愛くてしかたない。



「来年からは誰にもチョコあげないで」

「え？」

「本命チョコだけにしてよ」

「うん！(笑)」




じゃあ、薮も誰からも貰わないでね。
約束だよ。

って言ってくるコイツは、あざといとかそんなレベルじゃねぇな。

そんな可愛い約束は全力で守るに決まってんじゃねぇか！


俺のワガママを受け入れてくれるお前を大切にするから。ずっとずっと一緒にいてくれよ。




終

あなた色に染まりたい １ ybhk→←3

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