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やまを宥めながら走ること数十分。目的地に到着。
裕「やま頑張ってね。また迎えに来るから」
涼「ぐすっ。帰りたい。」
涼介を送り届けたのは就労支援の作業所。
高校までは何とか普通科に通っていたけれどその後の進路に悩んだ。
本人に一般企業に就職したいという希望があったからその方針で進めていたもののどこからも内定はもらえなかった。
というか面接会場に向かう途中で家の戸締りが気になりだし帰宅してしまうこともあったし、なんとか会場についてもそわそわして落ち着かずその会社の人にも怪訝な顔をされてしまった。
そんなわけで今の作業所に通いながらいつか就職できるようにと訓練を重ねている。
まあそんなこんなでもう5年目になる。
俺がやまとどんな関係かというと従兄である。
やまが23歳。俺は24歳。
やまは13歳の時に両親を火事で亡くした。以来俺の家族が涼介を引き取って一緒に過ごしていた。
やまの強迫性障害の原因はそこにあると思われている。
当時朝からやまは友達と遊びに出ていて家にはやまの両親だけがいた。
そこで火事になってしまったらしい。出火元は台所だったとのこと。
全焼してしまい涼介が帰宅した時には跡形も無くなっていたそう。
決してやまのせいではないけれど「ガスの元栓を閉めたか確認じしなかったからだ。」と自分のせいであると思い込んでしまっている。
それ以来、何事にも確認行動が増えるようになっていった。
やまとは歳が1個違い。俺の高校は中学を通り過ぎた所にあったから通学路は中学までは同じ。
だから中学も高校も一緒に通っていた。
その頃から家に俺の家族がいるにも関わらず鍵を閉め忘れたと心配するようになった。
その頃はまだ心配するだけだったけれどだんだんと症状が悪化。
家まで戻らないと落ち着かない。他にも何か忘れ物をしたと言って帰ろうとしたりしていた。
本人も学校に行きたくないわけではなく心配なだけ。
たった10分で着く道のりでも行ったり来たりを繰り返すから1時間前には家を出るのが日課となっていた。それでも遅刻することも度々。
毎日そんなことをされたら俺だって負担だし正直嫌になったこともある。
1人にさせて何かあっても困るし、俺はやまと向き合いたいと思ったから続けられた。
ちなみに今はやまと2人暮らし。
俺の父親に病気が見つかり要介護状態となってしまい母親が俺らの面倒までみるのは大変そうだったからやまと2人で家を出る決断をした。
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作者名:りょん。 | 作成日時:2021年9月2日 18時