君と生きる世界～輝く明日を夢みて～ (ページ18)

今日:8 hit、昨日:30 hit、合計:64,344 hit

・ページ18

カチカチカチ。

数センチ刃を出す。

ちょっと怖い。

でも、もう光に捨てられたんだし僕にはこれしかないんだ。

すっと手首に添わせると滲んでくる赤い液体。

ぽたっ。ぽたっ。

…

「あ…。ううぅ。なんで。こんなこと…。ごめんなさいっ。光助けて…」

血が出てる。

あぁ、どうしよう。光に切ったらダメって言われてたのに。どうしよう…。

…

ガチャ。

光「うわっ。涼介！！」

涼「ひかぁ。うっ…ううぅ。」

光「とにかくそれ置いて！」

涼介の手からカッターを取り上げ近くにあったタオルを涼介の手首に押し当てる。

光side

ああ、やっぱり間に合わなかった。

全ては俺の責任だ。

涼介は境界性パーソナリティ障害を患っている。

気持ちや行動のコントロールが難しく、対人関係においても不安定になってしまい、日常生活に支障をきたす。

涼介は見捨てられ不安が強い。

ちょっとしたことでもすぐに“捨てられたらどうしよう”“もう自分は捨てられてしまったんだ”と思い込んでしまう。

涼介を見捨てるなんてことはあり得ないのだけれど、どんな言葉をかけても涼介のその不安を払拭することはできない。

それにより自傷に走ることも少なくないのだ。

だから、はさみ・包丁・ガラス製のものなど危険なものは鍵のかかる所にしまっている。

なのになんでカッターを持っている…？

疑問はあるけど、とにかく今は止血しないと。