たった１つだけ願いが叶うのならば…。

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慧「あの子どうだった？」

大「え？あ、涼介くん？名前で呼んであげなよ。」

慧「ああ、うん。で？」

大「嘔気がかなり強いみたい。だいぶ戻してた。疲れて寝ちゃったけど。」

慧「そっかー。１番弱い薬だけどダメか。吐き気止め追加するね。それから、なんか話聞けた？」

大「了解。いや。話すどころじゃなかったよ。今日も手ギュッと握ってた。」

慧「んー。じゃ、なんか聞けたら教えて。」

大「もう。慧が自分で聞けばいいじゃん。」

慧「俺はそんなに暇じゃないんです〜。患者さんはいっぱいいるんだから。」

大「いや、それは俺だって同じだし。」

慧「でもさ、きっと涼介くん？も大ちゃんの方が話しやすいと思うからさ！ってことでよろしくね！だーいちゃん！」

大「むかつくー！ほんと適当だな！」


俺とこの適当な会話を繰り広げてるのは主治医の伊野尾慧。

おじいちゃん、おばあちゃんにはとっても親身なのになぜか若い子というか子どもが苦手みたいで…。困ったもんだよ。


宏「大ちゃん、休憩入れそう？」

大「あ、うん。涼介くんに吐き気止め追加になったから投与したら入る！」

宏「おっけー。」


吐き気止めを準備して涼介くんの部屋に入る。

コンコン

大「失礼しまーす。」

まだ寝てるみたい。

寝られるときに寝かせてあげたいからそっと吐き気止めを点滴の側管から投与して退室した。

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