いつまでも…

20小さい頃は ページ20

涼介は元々好奇心旺盛でいっつも動き回っていた。まあ、5歳なんてそんなもんだよね。
でもその時期から入退院繰り返していて、狭い空間に居るっていうことがかなり負担だったんだと思う。

その頃は宏太もまだ17歳で学校、部活に忙しくて面会にもあまり行けてなかった。きっと寂しさもあったんだと思う。

最近は無くなったけどよく脱走してたしね。


でも元気な小さい子が数時間ふらっといなくなるのとはわけが違う。

どこで発作を起こすかわからないし。それは命取り。
でも肝心の本人にはその重要性があんまりわかって無くて…苦労したって話を涼介の主治医を引き継ぐことになった時聞いた。

病室からいなくなったって騒ぎになって、中庭に男の子が倒れてるって連絡もらった時はほんと焦った。実際はベンチで寝てただけで何ともなかったけどさ。

後はインフルが流行ってた時に個室から出ないように言ってあったのに気づいたらプレイルームで遊んでて結局インフルになったし。

退院した親子の後を勝手についていってタクシー乗り場から男の子が付いてきてしまってるんですがって連絡をもらったこともある。

外来の中で迷子になったり、本人は星が見たかったって言ってたけど屋上のドアを開けられなくて手前の階段で泣きながら座り込んでたり。ほんと切りがない。


何年前かな。
重い発作起こした時に絶対安静が必要で光たちにも協力してもらって付き添ってはいたんだけど、体が動かせないのってかなりストレスなんだよね。

１週間過ぎたあたりから涼介もイライラし始めちゃって。体についてる色々な管を引っ張り抜こうとしたり、ちょっと目を離したすきにベッドから起き上がろうとしてて。

安静のために仕方なく手足をベッドの柵に結んで抑制したらさらにパニックで。

本人も辛いけどこっちも辛かった。
って。話し出したら切りがない。

俺が主治医を引き継いでからもしょっちゅう病室から抜け出してたね。


でも一番つらいのは涼介だもんね。きっとよくなるから頑張ろうね。


そんなことを思いながら頭をなでてると目が開いた。

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