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どうやら私達はすごく可愛いけどちょっと、いやかなり変わった女の子に出会ってしまったらしい。
さて、どうしよう。もう立ち去ってもいいかな。でもこの子、最初は泣いてたし一応どうしたのか聞いてみようか。
『ところで花田さんはなんでここで泣いてたの?』
「………………」
話しかけると、なぜかプイっと私から顔を背けて聞こえないフリをする花田さん。いやもうほんっと私に対しては感じ悪いよね、この子。
『ねえ、なんで泣いてたの?』
「………………」
『ねえ、なんで?』
「………………」
『ねえねえー、なんでなのー??』
「ああもう!!」
諦めずしつこく問いかけ続けると、花田さんは怒った顔で私に右足を見せてきた。
そんなに怒らなくても、と思いつつ彼女の右足を見ると、真っ黒の靴下に厚底の下駄を履いていた。
まさかとは思うけどこの子いつもこんな下駄を履いて鬼と戦ってるの? え??
「急いで走ってたら足首捻っちゃったのよ」
『……あー……そ、そうなんだ……』
そりゃこんな下駄履いてたらねえ……。
靴下と下駄を脱ぎ、「ほら見なさいよ」と言って赤く腫れた足首を見せてくる花田さん。うん、痛そうだ。
『じゃあ私が蝶屋敷まで運んであげるよ。ほら背中に乗って』
「誰かぁ、あたしを蝶屋敷に連れて行ってくれないかなぁ」
『え? だから私が──』
「うぅ〜足が痛くて歩けないよぉぉ」
『おーい、聞こえてるー?』
「誰か助けてぇぇっ」
「君って頭だけじゃなくて耳まで馬鹿になってるみたいだね。それとも自分の都合のいいようにしか機能しないの?」
ダメだこりゃ、と思っていると突然無一郎が花田さんに向けて冷ややかな声を発した。
「まあ別にどうでもいいけど足引きずってでも自分で蝶屋敷に行きなよ。鬼殺隊士ならそれくらいできるよね」
「えぇ? で、でもぉ……」
「できるよね」
「ふっ、ふぇぇぇっ」
「ねえそれ泣いてるつもりでいるみたいだけど全くそう見えないよ、下っ手くそな泣き真似だなあ」
無表情で鋭い言葉を発し続ける無一郎。
もうすんごい容赦ない。こんなに言われたらさすがに刺さるよね。心になんか痛いの刺さる。
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こころ - す、すごいこんな腹立つ悪女初めて!!! (2月27日 22時) (レス) @page11 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
まったり団子 - エッこれめちゃくちゃ面白い・・・悪女ちゃんがちゃんと悪女ちゃんしてて、柱がそれにドン引いてる・・・読んでて楽しいイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ・・・失礼しました。これからも読ませてください! (2月18日 19時) (レス) id: f793216af5 (このIDを非表示/違反報告)
燎(プロフ) - うなぎポテトさん» 力強く褒めてもらえて歓喜のあまり手が震えております(笑)嬉しいコメントありがとうございます!多忙な者で更新遅すぎ人間ですが、無理せず頑張ります!! (2月15日 7時) (レス) @page9 id: 57e1f471a0 (このIDを非表示/違反報告)
うなぎポテト - めっちゃ面白くなる予感しかしないんですけど!?作者さん凄すぎません?口調も全然迷子になってないし、読んでるとその場面が想像できるというか……とりあえず凄い!!!!更新無理せず頑張ってください!!!! (2月13日 23時) (レス) @page8 id: 9030b78ea3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:稜 | 作成日時:2024年2月2日 9時