彼女は愛されたいらしい【鬼滅の刃】

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ご息女の声を聞いてすぐ柱は全員横並びに整列し、片膝をついて頭を下げた。


そうすると襖の奥から二人のご息女と共に、ゆったりとした足取りでお館様がお見えになられた。




「おはよう、皆。よく来たね」




心地よいお館様の声。


何度聞いても自然と心が落ち着いてくる。


やっぱりリアルお館様はいいな。そう思っていると、しのぶちゃんの声がした。




「お館様、ご壮健のこと心よりお慶び申し上げます。今後も益々のご健勝とご多幸をお祈り致します」


「ありがとう、しのぶ。さて今日は予め伝えておいた通り“新たな柱”との顔合わせを、と思っていたんだけど……」




お館様はそこまで仰ると少し間を置き、「まだ此処に来ていないようでね。どうしたのかな」と少し困ったように微笑みながら仰った。


まさかの言葉に私達は驚き、誰もが大きく目を見開いた。


隣から「まだ来てねぇとはどういう事だァ」と既に憤っている不死川さんの声と、「お館様を煩わせる愚か者を俺は柱だと認めない。絶対に認めない」と呟く伊黒さんの声が嫌でも聞こえてきた。


まあ二人の気持ちは分かる。柱に任命されて今日正式に柱として認められるというのにまだここに来ていないなんて。


何かあったのかな？ そう思い首を傾げていると、どこからか鎹鴉が飛んできた。


その鴉はお館様の肩に止まると、耳打ちするように何かを告げた。




「……そうか。わかったよ、ありがとう」




お館様は鴉に向かってそう仰ると、今度は私達に向かって声を発せられた。




「皆、ごめんね。顔合わせはまた後日行おうと思う。今日は此処に来られなくなってしまったようなんだ」


『えっ』




これまた衝撃的で思わず声が出てしまった。


そして今日は来ないというオチは更に不死川さんと伊黒さんの怒りに火を点けた。


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