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貴「なにが、」
涼「まあとりあえず座れば?」
言われるがままにとりあえず椅子に座る。
向かい合って座った山田くんは、下を向いてて長めの前髪のせいで表情が見えない。どうしよう。
はあー、って長いため息をついて、ふふ、って笑った。美人。山田くんは美人だ。
涼「いつ聞くのかなー、って思ってたら1週間経っちゃうし」
貴「…」
涼「なぜかゆうてぃー来るし」
貴「…聞くキッカケになったね、」
涼「なんかA泣きそうだし、けど俺助けに行くわけにはいかねえし」
貴「…それは、」
涼「やっと言ったと思ったらAボロボロなんだもん、俺見てらんなかった、ごめんね」
どこかで私は、勝手に先輩の中でちょっと特別な後輩になれてると思ってたんだと思う。
そんなことないんだ、って痛感して、勝手に泣きそうだっただけなのに、こんなに心配してくれる人がいることにまた泣きそうになった。
貴「…助けに来てくれてありがとう」
涼「余計なお世話じゃなかった…?」
貴「うん、かっこよかった」
涼「それならよかったです」
…沈黙。
気まずい。山田くんが、また長めのため息をついた。
涼「…やっぱゆうてぃーのこと好きなの?」
貴「違う…と思う」
涼「グレーゾーンじゃんそれー、」
はあ、ってまたため息。
山田くんがするとため息すら綺麗なのはなんで。
涼「可愛い子がいるなーとは思ってて」
貴「…?」
涼「文化祭の日に迷子の子と歩いてたら、弟?って聞いてきたから迷子って答えたら え!って総合案内まで付いて来て?」
貴「…え!」
涼「子供とニコニコ話してるの見て好きにならずにいれる人いますかね?」
貴「…知りません」
涼「少なくとも俺は無理!」
むう!って顔して山田くんが私を睨む。
…そんな顔されても可愛いだけだ!
涼「勢いで言っちゃって?身体は手に入っても心は手に入らない」
貴「…」
涼「…俺以外見えなくなっちゃえばいいのに」
前髪をふわりと浮かして首を傾げる山田くん。
綺麗な二重の目はいつになく真剣で、どくん、って心臓が鳴った。
涼「…なーんて」
貴「…」
涼「まあ俺のこと好きにさせてあげますよ」
貴「…好きにさせてね」
涼「…なにこの会話」
ぶふ、って吹き出した!
こんな真剣に話した後とは思えないキラキラの笑顔に、私まで笑っちゃうんだから、山田くんはすごい。
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みはる(プロフ) - 私は今日誕生日です。 (2019年4月12日 18時) (レス) id: f9d8424a7b (このIDを非表示/違反報告)
未央 - すごく面白いです!続き気になります!更新待ってます! (2018年8月16日 18時) (レス) id: 71bdc0414f (このIDを非表示/違反報告)
里奈(プロフ) - すごい読んでて面白くてもっと続きが読みたいって思ってます!更新お願いしたいです!! (2018年6月28日 20時) (レス) id: c7d28386d2 (このIDを非表示/違反報告)
よん 。 - 続編希望です!凄い面白かったです (2018年5月17日 12時) (レス) id: 67b3c6d329 (このIDを非表示/違反報告)
みるくちやん .。(プロフ) - めちゃんこキュンキュンしてます (*´`)更新待ってるので大変だと思いますが頑張ってください! (2018年5月14日 15時) (レス) id: 0587ad5984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽむ | 作成日時:2018年5月9日 0時