M i l k × M ! l k （ 赤 ）

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伊「…ばかだよねえ、」

貴「うるさい」




私の顔を覗き込んで泣いてるのを確認して、心底めんどくさそうな顔しながらも人目につかない体育倉庫裏まで連れてきてくれた伊野尾くん。

やっぱり、なんだかんだで優しい。




伊「あの２人が定期的に会ってるのは事実だけど好き同士かは分かんねえじゃん」

貴「…」




そんなの。

お互い好きでもない男女が、わざわざ学校外で会うことってなに？ないでしょ？

じわり、また涙が滲んできたけど慌てて擦る。

…山田くんと出会ってから、私 泣いてばかりだよ。




貴「…っ！」

伊「おー」

貴「な、んで」

涼「…なに俺のいないとこで泣いてんの」




パシ、って後ろから手首を掴まれて、びっくりして振り向いたら山田くんが息を切らせて立ってた。

伊野尾くんは ぱちん！ってウインクしてどっか行っちゃった。




涼「…俺のこと、やっぱ好きになれない？」

貴「…」

涼「ゆうてぃーには、勝てない？」




山田くんの目が揺れる。

だいすき。

たった４文字伝えられればいいのに、喉からポロポロ言葉が剥がれて何故か涙が滲んできて。

山田くんがボヤけたと思ったらクリアになって、ほっぺにまあ涙が伝う。




涼「…急に現れて好きになれって、そんな都合いいことやっぱ無理だよね」

貴「…ちが、っ！」

涼「…迷惑かけて、ごめんね」

貴「待っ、！」




背を向けた山田くんを引き留めようとして必死に伸ばした手は、無情にも宙を切った。

すぐさま女の子に囲まれる山田くんを見て、痛む胸になんて気付かないフリをしたらいい。

山田くんに掴まれてた右手首の熱がずっと冷めないのも、気付かないフリをしたらいい。

全部全部、気付かなかったら良かったのに。




大「あーーーつっかれたぁ、ってうわあ！？」

貴「…っ！？」

大「Aちゃん！？何してんの！？」

貴「だ、いちゃ、っ」




え！？え！？俺 泣いてる女の子への対応とか分かんねえんだけど！

って大騒ぎしてる大ちゃん。

うるさいけど、今の暗すぎる私の気分だと太陽みたいで。




大「ど…どしたの…？」

貴「やまだく、」

大「やまだ？あいつ今日大変でしょ、誕生日だから女の子がわんさか！」




…ん？




貴「え、今日って」

大「え？山田の誕生日だよ」

貴「え？」

大「え？」




…沈黙。

伊野尾くんが言ってたのってもしかして、これ？

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