M i l k × M ! l k （ 赤 ）

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ある日。

クラス委員残っとけー、って言われたから、仕方なく千秋とバイバイして居残り。めんどくせ。




貴「山田くーん、起きてー、」




同じクラス委員の山田くんはずっと寝てるし、先生は来ないし、どうしよう。

ふと窓の外を見たら、雨が降ってて、見覚えのある傘が見えた。

ちあきー、って叫ぼうとして、固まる。




…中島先輩？




千秋と中島先輩が、千秋の折りたたみ傘に入ってるように見えて、気のせいなのかな、って思いたいけど、見間違うはずもなくて、

自分が辛くなるのが分かってても確信が持ちたくて目を凝らしたら、後ろからグイ、って手を引かれて くるっと半回転して、誰かの胸に頭がぶつかった。




貴「わ、っ」

涼「…」

貴「えと…やまだ、くん？」




ぎゅう、って抱きしめられた。

さっきまで机に突っ伏して寝てたのに、なんで起きて立ち上がってるの。

なんで抱きしめられてるの。




涼「…なに」

貴「離して…？」

涼「やだよ、あんた泣くじゃん」

貴「…泣かないよ」

涼「俺が泣いてるとこなんか見たくねえの」




泣かないって言ってるのに。

何を言っても離してくれそうにないし、諦めて黙ったけど

見たのは一瞬のはずなのに、小さい傘に２人が身を寄せあって入ってる光景が脳裏から離れなくて、じわあって涙が滲んできた。

だめだ、山田くんの制服濡れちゃう。




貴「山田くん、制服汚れちゃう、」

涼「…泣くんじゃん」

貴「泣かないもん、」




ズズ、って鼻を啜った音が響いちゃって、ふは、って山田くんが笑った。




涼「とりあえず泣けばいいじゃん、今なら誰も見てねえよ」

貴「…っ、」




なんでそんなこと言うの。

山田くんなんて、ジャンケンで負けちゃったから委員会が一緒ってだけで、それ以外何の関わりもないのに。




貴「なんで、」

涼「うるせえな泣き止んでから話せ」




いい人だと思った途端口が悪い！なんでなの！

って思ったら、トントン、って優しく背中を叩いてくれるから

うわーん、って好きなだけ泣いちゃって、山田くんの学ランは馬鹿みたいに濡れてしまった。

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