人間恐怖症の私はなぜか有名な歌い手グループのメンバーです【stxxx】

恐怖度98％ ページ5

ピコんっピコっピコんっ

ある朝、私はたくさんの通知の音で目覚めた。

時刻は昼の12時。
いつもよりちょっと早い起床だ。

通知の内容は．．．

るぅとまひるさん。今日は、ころちゃんの家で撮影ですよ。早く来てください。遅刻です!

ん？もう、土曜だっけか．．．

あ、大遅刻だわ。

グループチャット(通称：グルチャ)に一言謝罪を入れて支度を始める。

いつものパーカーと半ズボンに着替えてマスクをつける。
眼鏡をコンタクトと交換して、貴重品などをかばんにつめる。

『よしっ．．．』

覚悟を決めてから、ドアノブを回す。

ガチャ

地図アプリでころんさんの家を調べる。
あれ、これ私のマンションの一個上の階の部屋じゃん．．．。
なんで今まで気づかなかったんだろう。

エレベーターに乗って一個上の階まで上がる。
そして、部屋の前まで来た。

そこまでは、よかった。
良かったんだけど．．．

インターホンが、押せません．．．。
どうしよう、これ以上待たせるはだめだし．．．。

ち、チャットで声かけてみようかな。

そう思ってスマホをカバンから出したその時、

こ「あれ？もしかしてまひるちゃん？」

扉からちょこんと頭をだして、ころんさんと思われる人が出てきた。

こ「ん？下の階の人ですよね？」

そんなことを聞かれたと思う。

私は、ころんさんの言っていることは何一つきこえていなかった。

『．．ぅ。ぃ．．．。』

体が震えて、うまく声が出ない。

こ「え？なに？」

きっと何を言っているのか聞き取るためであろう。
ころんさんは、私に近づいてきた。

満員電車も乗ったことのない私は、人とこんなに近くにいるのはきっと初めての経験だった。

『ゃ．．．こないで！』ズルッ

やっと出た声もそんな突き放す言葉で
限界が来た私は、恐怖に腰が抜けてその場から完全に動けなくなってしまった。

こ「え．．あ！なーくん！」

ななもりさんを大声で呼びながら部屋まで戻ってしまった。

『う．．．ぁう．．．ぁ』

ああ、情けない。
自分で頑張るなんて言ったのに、こんなところでうずくまってるなんて...
カッコ悪すぎて、笑えてくる。

はは...
やっぱり私には無理なのかなあ...

ネガティブで後ろ向きな自分は、大嫌いだ。
でも、そうしないと私は生きていけないんだと思う。
それに、私は人のせいじゃなくて、自分のせいにするからまだましなんじゃないかな。

そんなことを思っていると

な「まひるちゃん?大丈夫!?」

青い顔をしたななもりさんがやって来ていた。

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