人間恐怖症の私はなぜか有名な歌い手グループのメンバーです【stxxx】

誘拐　監禁　２日目 ページ29

『んっ…………？』

目が覚めると、そこは知らない部屋だった。
無機質で、どこか私の部屋に似ていた。

あれ、私いつのまに寝てたんだろう。
なんだか、嫌な夢を見ていたような気がする。

「やぁ、起きたかい？」

確か、レオンだったかな。

覚えてる。
私の小学生の頃の初恋の人。

でも、何故彼とここにいるのか皆目検討もつかない。

『あの、ここは？』
「ちょっと、昨日の約束もう忘れちゃったの？」



「君は、俺の所有物になったんだよ？」

その一言は、やけにはっきりと耳に入った。

『そう、でも、そんなこと約束？した覚えはないわ』
「あれ、おっかしいなぁ、君は記憶喪失なはずなのに。」

"記憶喪失"？
いったいなんのことなんだろう。

「ふふっ、何のことか分かんないって顔してるね」

私の心を、思考を読むかのような、そんな事を言う彼。

『私は、すとぷりの元に帰らなきゃいけないの』
「そんなことないさ、それに、そのすとぷりってのも君の帰りなんざ待ちわびてないよ」

そんなの、嘘だ。
曖昧だけど、私は、彼らに大事にされていた事を覚えている。

『どうでもいいわ。帰らせてもらうね』

そう言って、すぐ側にある扉のドアノブに手をかけようとすると

ドンッ

「どこに帰るって...？

　君が帰る場所なんて、どこにも無いよ？」

所謂、壁ドンをされ、行手を塞がれる。

『私には、帰る家がある。みんなが待ってる。もう、これ以上、迷惑かけたくないの！』

『だから、だからどいてよ！』

あれ、私はなんでこんなにも彼に感情を剥き出しにしているんだろう。

なんでこんなに、醜い物を曝け出しているんだろう。

もう、なんか、よく分からない。


私は、どうすればいいのかな。

どうすれば、ここから、この場所から、元の、私の居場所に帰れるのかな。

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