人間恐怖症の私はなぜか有名な歌い手グループのメンバーです【stxxx】

誘拐　監禁　1日目 ページ28

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ ﾋﾟｲｯ

どこからか小鳥の鳴き声が聞こえた。

『ふわぁ、よく寝たぁ。』

ｷﾞｼｯ

私が起き上がるとベッドのスプリングが小さく鳴った。

ｺﾝｺﾝｯ ｶﾞﾁｬ

「やぁ、おはよう。俺の可愛いA」ﾆｺ

人触りのよい笑みを浮かべて近づいてくる彼は、私のご主人だ。

『うん！おはよう！』

あれ？
なんでかな、私はこの景色を3人称視点で見ている。

健気に笑う私の顔が少しだけぼやけて見える。



この子はだれなの？

「A、体痛くない？大丈夫？」

私の首元に首輪がついていた。

鎖は外されているようだった。

『だいじょーぶ！私こう見えて体強いから！』

えっへん！と胸を張りとても可愛らしい仕草を繰り返す私。

これは…ゆめ？
夢だよね？

「あは、ねぇ見てよ。ここ、俺の印いっぱいだよ」
『もー、恥ずかしいじゃん！』

とても、微笑ましい会話。
とても、可愛らしい。
とても、羨ましい。

でも、こんなの、私じゃ、ない…。

夢から、覚めたい。

ーーーーーー
No side

彼は、魘される彼女をただただ見ていた。

笑うでも泣くでも、心配するでもなく。
ただただ見ていた。

『いや、だ…』

うぅ、と時折り嗚咽を漏らしながら彼女は眠り続けた。

すると、彼が口を開く。

「ねぇ、早く受け入れてよ。これからの君を、これからの運命を。俺、待てないよ？」

運命。
それは、一体どのようなものだろう。

その日は、真っ暗な曇り空が広がる日。

"彼女が彼女では無くなった日"だった。






『助けて…』

小さく呟いた彼女の言葉。
誰かに、届くといいね。









？「まひる？…まさかね」

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