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恐怖度88% ページ19

ガコンッ

ガコンッ

ガコンッ

最近の悩みと言えば、ポストに毎日だいたい1時間に一回くらい手紙が届くこと。

あと……

ピコンッ

ピコヒコッ

ピコッ

暇さえあれば来るメンバーからのチャットの通知。

二つ目は、幸せな方の悩み…かな?

「今夜は、大変強い雷雨になるでしょう。」

テレビからそんな声が聞こえた。

『はぁ、こんな日に雷雨って…なにかの前触れだったりして』

そんな独り言さえ、呟いてしまいたくなる無機質な部屋。

こ「家具には金かけるべき」

そんな言葉を思い出す。

お金……

『女の一人暮らしが裕福なわけないよね。うん』

財布をチラッと見て、ため息混じりにそんなことを言う。

ガコンッ

ガコンッ

あれ、もう2時間くらいたってんのか。

バササッ

ある時、そんな音が聞こえた。

ついに、溢れたか?
そう思い、玄関に向かう。

ちょうどその時……

ガチャンッ

『へ……?』

閉まっていたはずの扉が開く音とドアノブが下がるのが見えた。

ピカッ
ガッシャーーン‼

「____で、___の___。」ニヤリ

見えたのは、知らない中年くらいの男の人で、なにかを喋っていた。
でも、その声はとても近くに落ちた雷によって上手く遮られてしまった。

『ぁ……ぇ?』

突然の事で固まってしまった私を見据えた彼は

「ふふっ、じゃあ、また来るね」ニヤリ

そう言ってその場を去っていった。

"また来るね"

その言葉が頭の中をこだまする。


『誰っ………なんだよ!!』

やっと出た声も時既に遅く。
誰もいないマンションの私の部屋に、寂しく響いていった。

怖さと驚きと情けなさからか溢れ出た涙が頬を伝って床に落ちる。

ダメだ。

こんな私じゃ、ダメだ。

ダメ…なんだ。

"ダメ"

その言葉が自分の奥底から湧いてくるように出でくる。

パニックになった私は、もう自分がどんな状態かも理解できずに、ただただ誰もいない玄関の前で座り込んで泣いた。

静かに、泣いていた。

自分を否定することしか出来なくて、自分が、うまく生きることが、出来なくて。


『誰か、助けてよ……』


ーーーー

No side

1人の女性がとあるマンションの一室の玄関で泣いていた。

彼女の前には、たくさんの手紙が散らばっていた。

色白で細身のその女性は、救済の言葉を述べた。

でも、彼女の周りには助けてくれるようなひとがいなかった。

外の廊下の影で、若い男性が微笑を浮かべて立っていた。

「もう少しだよ」

その男性はそう言って去っていった。

それは、ある雨の日の事だった。

恐怖度87%→←番外編「父の日」III



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ゆき(プロフ) - ゆぃさん» 読んでくださりありがとうございますっ!ゆぃさんもお身体に気をつけてくださいね!更新、無理しない程度に頑張ります! (2021年3月1日 16時) (レス) id: 104b39588e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - なっちさん» 感想ありがとうござます!そうですねぇ、意外と深いんですよね。色々と 。時間があったらなっちさんの作品も読ませていただきますね! (2020年12月23日 17時) (レス) id: f107b08525 (このIDを非表示/違反報告)
なっち - とてもすてきなお話ですね。内容じゃなくて、書き方?みたいなのが。1件軽い話に見えるけど、実は奥に壮大な重い話が隠されている。こういうの大好きです。私もすとぷり書いてるんですけど、良かったら読んでみてください。笑い要素が多い軽めの話ですが。 (2020年11月30日 19時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - ゆきさん» いやなんか通知来ないんですよwなんでいつ更新されたか分からないんですよwなんで毎日来てますw (2020年6月26日 22時) (レス) id: 93b2831bba (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - みるくさん» おぅ、ありがとうございます。そんなに毎日更新してないけど…w更新頑張りますね (2020年6月26日 20時) (レス) id: 86d70f8e97 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2020年6月14日 16時

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