【男主】涙でにじむ約束は Ⅴ (ページ4)

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これくらいページ4

Aside

岩本「……で、ここで後ろのメンバーは
ターンね」

振り入れ初日ということもあって
レッスンはそこまでハードじゃない。

これだったら今日の体調でも大丈夫だって
はじめは思ってた。

けど、時間が進むにつれて、
身体が言うことを聞かなくなってくる。

鈍く痛む頭に、大した動いてもないのに
痛いくらいに脈打つ胸。

これくらい、大丈夫だ。

自分に言い聞かせて、
ときどきかすんでくる目を擦りながら
立ち位置に戻ったときだった。

向井「ちょー待って！
ここまでで一回整理させて！
頭パンクしそう！！」

深澤「俺もギブ！休憩！」

岩本「ったく、しゃあねぇなぁ」

照が２人を見て笑ってた。

……助かった。

そんなふうに思ってしまう自分がいた。

復習も兼ねて休憩が挟まれた。

相変わらずの体力おばけの佐久間が
康二に細かい振り付けを教えている。

今の自分の体力的に、身体に教え込むのが
辛かった。

その分目で覚えないと。

自分に言い聞かせて俺は壁にもたれかかりながら
２人の様子を眺めていた。

康二の動きが自然になってきた頃、
ふいに景色が回った。

A「っ……」

とっさにうつむいて目を閉じた。

それでも感じるのは血の気の引く感覚と
体の浮遊感。

言いようのない気持ち悪さに立っていられなくなって
その場にずるずると座り込んでしまった。

早くおさまれ……。

そう願うことしか、今の自分にはできなかった。

岩本「A、大丈夫か！？」

ドクドク脈打つ胸の音と一緒に聞こえてきたのは、
照の声だった。