【男主】涙でにじむ約束は Ⅴ (ページ13)

今日:69 hit、昨日:24 hit、合計:208,583 hit

怖くないページ13

ラウールside

ラウ「いいの？これってAくんの大切な
ネックレスじゃないの？」

Aくんが俺につけてくれたのは、
昔からAくんが持っていたネックレス。

初めて映画の主演をするときに買ったネックレスで
初心を忘れないように、今でも大切にしてるって
雑誌で話していたのを覚えてる。

A「まぁ長い間使ってるから思い入れはあるかな。
羽根のチャームには意味があってさ、
挑戦とか、新たな自分って意味があるんだよ。
今のラウールにはぴったりでしょ？」

ラウ「そうかもしれないけど……」

そんな大切なもの預かってもいいのかな。

A「メンバーがいないとさ、
急に心細くなるときがあるんだよね」

ラウ「え、Aくんもそんなこと思うんだ」

A「あったりまえじゃん」

意外だった。

１人の仕事のときだって、
いつもAくんは堂々としているイメージしか
なかったから。

A「だからさ、不安になったり
怖くなったら思い出して。
ここにちゃんと仲間がいるから」

そう言ってAくんは俺の胸をとんって
優しく叩いた。

スタッフ「ラウールさん、準備が整ったので
もうすぐステージまでお願いします」

ラウ「はい！」

A「大丈夫。ラウールの強さは
俺がちゃんと知ってるから」

ラウ「うん！」

A「よし！行ってこい！」

ラウ「ありがとう！」

胸のボタンを閉めてステージに向かった。

大丈夫。

もう、怖くなんてない。

俺よりも俺のことを信じてくれる人が、
いつだってそばにいるから。

胸に優しいあたたかさが広がっていくのを感じた。