【男主】涙でにじむ約束は Ⅴ (ページ12)

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お守りページ12

Aside

今日がラウールの晴れ舞台なのは
知っていた。

何年か前に俺も出たことがあったけど
華やかさと周りのオーラに圧倒されたのを
覚えている。

初めてで、しかも１人。

きっとラウールなら大丈夫だって分かってたけど
ちょっとでも緊張を和らげてあげられたらなって。

そう思って会場にやってきた。

たまたまスタッフさんに知り合いがいて、
スムーズにラウールの楽屋まで
たどり着くことができた。

予想通り、そこには一目見て分かるくらいに
緊張しているラウールがいた。

A「ラウールなら大丈夫。
俺が保証する」

ラウ「……うん」

少し話しているうちに、
さっきよりもちょっとは表情も明るくはなった。

けど、まだ固い。

何か、もっとできることはないか……。

A「あ、そうだ」

ラウ「ん？」

ボタンの少し開けられたシャツを見て
思いついた。

A「そのボタンってさ、本番はつけるの？」

ラウ「うん、今は開けてるけど本番では閉めるよ」

A「そっか、なら……」

俺はつけていたネックレスを外した。

羽根の形のチャームのついたネックレス。

それをラウールの首につけた。

ラウ「これ……」

楽屋の鏡に映るラウールの胸元で、
シルバーの羽根が光っていた。

A「お守り。周りから見えないから
コーディネートにも影響しないでしょ？」