【男主】涙でにじむ約束は Ⅳ (ページ39)

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負けないページ39

深澤side

A「そっか、良かった。
けど……」

深澤「けど？」

A「俺はこのままで終わる気はないから」

深澤「え？」

A「絶対負けない。後輩に抜かれたぐらいで
落ち込んだりしないから」

そう言って、ピシャッと頬を叩いた。

深澤「よく言うよ、泣いてたくせに」

A「はぁー！？泣いてないですぅ！」

深澤「涙の跡、ついてるぞ」

A「え、うそ！」

Aが頬をこすった。

深澤「うそだよ、ばーか」

A「……ふっか、今のはマジでムカつくぞ」

深澤「Aがカッコつけてばっかりいるからだろ」

A「気まずくてコソコソ隠れてるやつにだけは
言われたくないけどな！」

Aが俺の肩を叩いて横をすり抜けて行った。

深澤「いって！！待てよ！！
ってか別に隠れてたわけじゃねぇから！」

慌てて追いかけるとAはもう階段の下にいた。

A「ふっか！」

深澤「あ？」

Aが俺を見上げて言った。

A「次は絶っっ対に勝ち取るぞ！」

Aの目に、涙はもうなかった。

あるのは強い覚悟だけ。

深澤「当たり前だろ！」

大丈夫だ。

まだ俺は前を向ける。

俺は一人じゃないから。

絶対に夢を掴んでみせる。

そのときには、きっと隣にはAがいる。

その先も、ずっと。

あのときの俺は、そう信じて疑わなかった。