【男主】涙でにじむ約束は Ⅳ (ページ27)

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涙ページ27

Aside

目頭が熱い。

この景色を目に焼き付けたいのに、
視界が滲んで前が見えない。

A「あれ、なんで……」

ここは泣くところじゃない。

頭では分かってるのに、
何度拭っても溢れてくる涙が止まらない。

A「おかしいな、俺、
なんで泣いてんだろっ……。
歳とると涙腺弱くなるって、
本当なんですかね？ははっ……」

こんなんじゃダメだ。

ちゃんとしゃべらなきゃ。

ちゃんと笑わなきゃ。

それなのに、この時間が終わってしまうのが
寂しくて、悲しくて、苦しい。

それでもなんとか顔をあげようとしたときだった。

誰かに身体を引き寄せられる感覚があった。

それから、力強い温もりが身体を包んで
髪をぐしゃっと撫でられたのが分かった。

深澤「ごめんねーみんな。
ちょっとA、感極まっちゃってるみたいだわ！」

すぐそばで聞こえてきたのは、
優しいふっかの声だった。

深澤「ここまで来るのにね、Aめちゃくちゃ
頑張ったんだよ。
ファンのみんななら知ってるかもしれないけど
Aって結構ひとりで抱え込んじゃうタイプでさ。
どれだけ大変なことがあっても、
俺たちやファンの前では全然見せないのね？」

違うよ。

俺は、そんなに強くない。

みんながいなければ、
今ごろここに立ってることさえできなかったんだから。