【男主】涙でにじむ約束は Ⅲ (ページ44)

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止まらない涙ページ44

向井side

A「バカだねぇ康二は」

Aくんは俺の顔を両手で挟んで上げさせた。

言葉とは裏腹に、その声と表情は
全てを包み込んでしまうくらいに
優しかった。

A「康二はそのままでいいんだよ」

向井「え……？」

A「康二が来てくれてから、
みんな前よりもよく笑うようになってる。
それは康二の明るさのおかげだって
俺は思ってるよ」

向井「そんなこと……」

A「そんなことあるんだよ。
誰よりも近くでメンバーを見てた俺だから、
自信を持って言えるんだ。

それに康二がめちゃくちゃ頑張ってるのも
ちゃんと知ってるよ。
それは俺だけじゃない、みんな気付いてる。

だから大丈夫だよ。
康二は康二らしく、そのままでいいから。
俺らみたいになろうなんて
考えなくていい。

俺だって康二みたいにはなれないんだから」

肩にのしかかっていた重みが
Aくんの言葉に吸い込まれていくような
気がした。

人ってこんなに泣けるんかっていうくらい
涙が止まらんかった。

A「ちょっとっ、さすがに泣きすぎだって」

向井「だってっ、Aくんがっ……」

優しくて、あったかすぎるから。

向井「なんでっ、そんなに、
優しくしてくれんのっ……」

A「なんでって……」

Aくんが困ったように笑った。

A「大切で大好きなメンバーだもん」

当たり前のようにAくんが言ってくれた。

その当たり前さがまた嬉しくて、
やっぱり涙は止まらんかった。