【男主】涙でにじむ約束は Ⅲ (ページ37)

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稽古ページ37

Aside

出演することさえ危ぶまれた滝沢歌舞伎。

みんなのおかげで舞台に一緒に立つことを
許された。

絶対にやり切ってみせる。

そう心に決めて、毎日の稽古に励んでいた。

幸いにも今日までの稽古は
休むまずにくることができていて
来週からはIMPACTorsたち後輩も合わせた
稽古が待っている。

今まで以上に気を引き締めていかないと。

滝沢「よし！ラスト１回合わせて
今日は終了！
細かいところ意識していけよ」

滝沢くんの言葉に返事を返しながら
それぞれが立ち位置に移動していたときだった。

A「つっ……！」

ズキンッと頭に鋭い痛みがはしった。

油断していたタイミングでの痛みに
思わず顔をしかめてしまった。

向井「Aくん……？」

心配そうな康二の声にはっとして顔をあげた。

向井「大丈夫？」

A「大丈夫だよ、なんでもないから」

康二の背中をそっと押して移動を促した。

滝沢くんは台本に目を落としていて
こっちには気が付いていないみたいだった。

「無理はするな」

滝沢くんの言葉が頭の中をよぎる。

こんなの無理のうちに入らない。

だから大丈夫だ。

いや、たとえ無理をしてでも俺は
舞台に立ち続けないといけない。

そのためにも、こんなところで休んでなんか
いられない。

痛みが少しでも和らぐことを期待して
大きく息を吐いて立ち位置についた。