【男主】涙でにじむ約束は Ⅲ (ページ33)

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条件ページ33

Aside

阿部ちゃんとレッスン室に戻ると
さっきまでの空気がガラッと変わっていた。

その理由はすぐに分かった。

A「……お疲れ様です」

滝沢「お疲れ。悪いな、レッスン中に」

その空気の中心には滝沢くんがいた。

みんなの顔に、緊張が浮かんでいる。

滝沢「滝沢歌舞伎のことで話をしに来た」

告げられたのは予想通りの言葉だった。

滝沢「１０人じゃないと出ない。
その意向で変わりないな？」

岩本「変わりありません」

俺が口を開く前に、はっきりと照が
言い切ってくれた。

滝沢「そうか……。なら……」

滝沢くんが台本のページを開いた。

A「っ……！」

深澤「滝沢くん……」

キャストの名前が並んだページ。

そこには、紛れもなく俺の名前が記されていた。

A「いいんですか……？」

滝沢「仕方ないだろ、
おまえがいないなら全員出ないなんて
言い出すんだから。

ただし、条件がある」

A「条件……？」

滝沢「絶対に無理はするな。

たとえ舞台の途中であっても
限界だと判断したら幕を閉じる。
それが条件だ」

滝沢くんの目は本気だった。

冗談でも脅しでもない。

この人は、本気で舞台を終わらせるだろう。

だったら俺のできることは一つだ。

A「……分かりました」

滝沢「その言葉、忘れるなよ」