【男主】涙でにじむ約束は Ⅲ (ページ3)

今日:13 hit、昨日:42 hit、合計:274,308 hit

知っていたはずなのにページ3

宮舘side

渡辺「……ほんと、バカだよあいつ」

吐き捨てるように翔太が言った。

渡辺「普通倒れるまで隠し通すか？
余命一年なんか言われたら、
仕事どころじゃねぇだろ。

そもそも体調だって良くなかった日も
あったはずなのにさ。

それ全部ひとりで背負って。

ほんとっ……バカだよなっ……」

翔太の声が震えていた。

渡辺「俺らがショック受けるから
伝えるタイミング探ってたんだろうな……。
結局見つかんなくて限界迎えてっ……。

Aのやつ、
どんな気持ちで笑ってたんだろうな……」

翔太の目から、雫が一筋こぼれた気がした。

けどすぐにさりげなくついた頬杖に隠されて
はっきりとは見えなかった。

どうして気付いてあげられなかったんだろう。

ずっと胸を締め付けるのは、
そんな後悔だった。

Aが弱音を吐くのが苦手なことも、

頑張りすぎちゃうことも、

痛みや辛さを隠すのがうますぎることも、

苦しいときこそ笑う癖も、

全部、全部知っていたはずなのに。

だからこそ気付いてあげなきゃいけないって
いつか誓ったはずなのに。

ごめん、A。

俺はAに助けてもらったうちの
何百分の一さえも、
Aを助けてあげられていないよね。