願い ページ19
向井side
やっぱり、Aくんは強かった。
もし俺が突然余命を告げられたりしたら、
ショックで立ち直られへんかったと思う。
なんで自分がこんな目に、って
ぶつける先もないのに何かを恨んで、
これから先の見えへん恐怖に
怯えることしかできひんかったと思う。
Aくんにもそんな思いはあるはずやのに
戦おうとしてる。
向井「Aくん」
A「ん？」
向井「俺は……俺たちはAくんに
何をしてあげられる……？」
悔しいけど、身体の苦しさや痛みを
変わってあげることはできひん。
でも、何もせずにただ見守るだけは
嫌やねん。
A「そうだなぁ……」
Aくんは、少し考え込むような表情を
浮かべていた。
A「ひとつだけ、わがまま言っていいなら……
みんなには何も変わらずにいてほしいかな」
向井「変わらずに……？」
A「うん。変に気を使ったりしないで、
今までと同じでいてくれるのが一番
嬉しいかな」
Aくんらしい願いやった。
こんな状況なんやから、
もっとわがまま言ったっていいのに。
A「そうしてもらえるように、
俺も頑張るから」
深澤「おまえ、また無理する気だろ」
岩本「無理するのと頑張るのは違うからな」
阿部「その点だけに関しては、A、
信用できないからなぁ」
A「そんなことないよー」
宮舘「いや、あるね」
A「舘さんまで……！」
状況は何も変わってないのに、
さっきとは違う穏やかな空気に変わってた。
きっと、Aくんがいてるから。
Aくんには、ずっと笑っててほしい。
ずっと、一緒にいたい。
神様がほんまにおるんやったら
答えてほしい。
俺の願いって、
そんなに叶えられへんもんですか？
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作者名：くらげ
| 作成日時：2021年12月4日 19時
